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正義を振りかざす「極端な人」の正体

新書版の書籍で、とても興味深いのでKindleで購入。即読み終わり、納得しきり。

SNSでの誹謗中傷、自粛警察、不謹慎狩り

山口真一著。

正義中毒

中野信子さんでしたっけね。正義に酔う人たちが、したり顔で説教しがち、って現象を「正義中毒」と称した記憶がある。

人を責めると酔える。だが、自分の考えが正しいと判じやすいのがネット社会であることを理解すべきね。

フィルターバブル

インターネットでは、自分が購入したものや検索したものの履歴から、「自分の欲しい情報」や「自分に似た意見」が目に触れやすくなっている。CRMにより、フィルターがそうさせているだけなのだが。自分が良しとする意見に触れるチャンスがおおいため、その影響により

「みんなが同じ意見だ!」

と勘違いしやすいことを言う。

エコーチェンバー

そのフィルターバブルにより、自分の意見を正しいと思うのみならず、「もしかしたら」という不安に思って調べている事柄も、陰謀論と気づかずに信じ込んでしまい「そうに違いない!」と思い込んでしまう。同意見が共鳴死あって、より強く「そうに違いない!」と思い込んでしまうのだ。これがエコーチェンバーね。

サイバーカスケード

同じ考えや思想を持つ人が、インターネット上で協力に結びつく事で、異なる意見を一切排除した閉鎖的で過激なコミュニティを形成する現象のことを「サイバーカスケード」と言う。ホント怖い。

批判を過去込み、人を責める人の特徴

ネットで批判や誹謗中傷を書き込む人は、

「ネット上では、非難し合って良い」

「世の中は根本的に間違っている」

「ずるいヤツがのさばるのが世の中だ」

等の考えを持っている傾向があることが解った。

炎上はたった一人がやっている

1人で千以上のアカウントを作って、攻撃している者もいる。ある大炎上では、たった一人で、責めてたケースもある。嘘の世論を作れちゃう問題がネットではとても大きく厄介。

それでも被害者は「みんなに嫌われた!」などと思ってしまいがち。

ネットイジメの被害は多い

アメリカの世論調査では、15歳から26歳の若い人のなんと7%がネットイジメの被害に遭ったことがあるそうだ。

「いいね!」問題

誹謗中傷問題に対して、同調する意味の「いいね!」を押す者もいる。それはボスの影から小石を投げるワケだが、加担に等しい。

しかし、反対意見を発して守ろうとする者はいないのがネット社会。なぜなら、そうすることで、次は自分がターゲットにされてしまう可能性があるからだ。

つまり、言いたい放題であり、言いっぱなしがネット社会。

「極端な人」

この本では、この手のネットで人を攻撃する人を「極端な人」と優しい言葉で定義づけている。ネットにはこういう特徴がある。

  1. とにかくやたら発信する
  2. ネットそのものが、その手の人を生み出す
  3. 非対面だと攻撃しがち
  4. 攻撃的で極端な意見ほど拡散されやすい

中庸な意見の者は「発信しない」

つまり、ネットには極端な人が増殖するように出来ている。アンケートのように無作為な受動的発信がなく、積極的発信が多いのがネットだ。

普通の人々がネットからいなくなり、代わって少数である筈の「極端な意見の持ち主」がネットのマジョリティを閉めるようになっている。

クチコミも極端が多い

1~5点の場合、クチコミは2、3、4点をつける人は少なく、5点と1点を付ける人が多い。これは、クチコミも「意見の極端化」が進みがちなネットの特徴と同じ状況だ。

この本から図を引用させて貰うと、こんな具合。

つまり、ネットの上では、強い賛成意見か、強い反対意見ばかりが「表れる」。だが、ネットでの議論から撤退する人がほとんどなので(なぜなら阿呆らしいからね)、山なりの真ん中の部分はごっそりいなくなってしまう(ネットにはいるが書き込みはしない)。

これと同じで、クチコミの場合も1点か5点で書き込む人が多い。同じく谷型分布となっている。

批判的感情を抱いた人の方がクチコミを書く!ということ。思い当たる節もあるのでは?

ラジオを聞いている人が多い

そして、若者が多いんでしょ?と思いがちだがそうではない。なんと60歳以上のオッサンおじいさんがとても多い。定年で時間が余り、ネットを見る時間が増えて、「極端化」しちゃった残念な人たちってことね。

そして、この著者の本によると「人を責める」とか「ネトウヨ」ってのは「ラジオをよく聞く」などの特徴が共通点としてあげられるらしい。

そうやって考えると「アクセス」といったバトルトークラジオとサブタイトルがついているラジオ番組の存在は、民放らしく、ネトウヨを増殖させ、戦わせ、口角泡を飛ばさせ、人の意見を封じていく事が肝となっていた、極めて現代的な番組だったということなのかしらね。

それとも、吐き出す場所を提供することで「ネトウヨ」やネットで人を中傷したり人を責めたりする人を減らす効果がある、世直し番組だったのでしょうかしら。

僕が気をつけていた事。

僕は個人的に、CRMで、自分と同じ意見や趣味の人の意見や話しばかりが目に入るようにネットがなっていることを理解してから、あえて、嫌いな人をフォローしてみたりしている。軽蔑している老人のラジオを聞いたりもする、時折ね。それにより、バランスを取って、自分が少しでも偏らないようにしようと思っているのだけれど、ソンなことは必要なかった。この本を読んだら、色々氷解した。

でも、時折、読み返したい本。だって、忘れて気づけば「極端化」してそうだからね、自分が。てことはKindleで購入して正解ってヤツだな。いつも、スマホの中にある。

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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。