そして、憂国忌。三島由紀夫と美智子様は銀座の小料理屋でお見合いをしていた事実が明らかに。
偽装結婚か?
三島由紀夫の研究者のなかには、男色なので、結婚そのものは偽装結婚だとする向きもあるが、これは正しくない。読めば、結婚観はハッキリしている。
川端康成の養女に交際を申し入れて、川端康成の奥様に断られたりしていたようだし。
石原慎太郎の弁
そんな中、三島由紀夫が瑤子さんと結婚した時、世の中はかなりざわついた。え?見合い結婚?とな。石原慎太郎の言葉。
三島さんが見合結婚なんて考えられない。人の知らない間に、どこかで素晴らしいお嬢さんをちゃんと射止めていたんじゃないかな。見合結婚というのもひとつの演出と思われるほどだ
三島由紀夫の結婚を知った石原慎太郎の言葉
媒酌人は川端康成
川端康成が結婚の媒酌人を務めた。「世界的な作家の三島君の媒酌人を務めるということは、これにて私の名声も上がるというもの」と嘯くユーモアで挨拶。
遊び慣れしていない
瑤子さんと見合いをした三島は、銀座で食事のあと、青山のCLUBに行って踊ったそうな。そこでの彼女をみて「遊び慣れていない所が気に入った!」とな。
で、話は運び結婚に至る。式では、「どうだ、丸顔で可愛いだろう」と口々に言いふらしながら、奥様を見せびらかすように嬉しげだったと。
女子大中退
瑤子さんは、女子大生だった。結婚後、中退して、三島を支える人生に入る。三島の死後も著作権保護などに尽力。
割腹自殺当日の朝
瑤子さんは、2人の子供を送る為に、当日の朝、髭を剃る三島をおいて家を出る。用事を思い出して自宅の家政婦に電話をかけた瑤子さん。家政婦が電話を切ろうとすると、三島が「待て」と受話器を横取り、瑤子の用事を直接聞いた。そして三島は「あ、そうか」と答えて電話を切った。これが夫婦最後の会話。
美智子さまとお見合い
そんな三島は美智子さまとお見合いしたという事実があった。歌舞伎座で隣り合わせの席になるように待ち合わせて初対面、そして、2人で銀座で食事をした。それがお見合いのようなデート。
だが、交際を断られてしまう。
石を投げた少年
ご成婚パレードで馬車に石を投げた少年がいて、ニュースになった。今では考えられないけど、時代だね。だが、これについて三島由紀夫は
「僕には気持ちがわかる」
と言っている。大いに傷ついたと語っていたからね。本当に恋をして本当に好きだったらしい。そして、本当に魅力的な女性だったらしい(言わずもがな)。
美智子さまをモデルにした小説
どうやら、「豊饒の海」の第1部に出てくる、皇族と婚約する綾倉聡子こそ、美智子妃らしい。
私小説は晩年に傾く事が多いのが作家の常で。三島は享年45なので、そこまで老いてはいない。つまり豊饒の海でさえ、自分の身の回りのことを入れ込まないように入れ込まないように注意しながら、尚且つ、文学として高みを目指す試みを続けていた。
でも、そうやって研究者たちにバレバレなのは、よほど好意を寄せていたのでしょう。
「戦争花嫁」と自衛官の見舞い
美智子様は、終戦直後に来た兵士と結婚して渡米したいわゆる戦争花嫁の集まりがあって、その人たちに個人的に美智子様は金一封をお渡しになった。
時代の狭間で揺れ動く心。皇族のとるべき行為と立場。
三島由紀夫の妻の瑤子さんは、三島の死後、数々の夫のフォローをしている。
傷ついた自衛官のお見舞いに行ったり、保釈された小賀や古賀を自宅に招いて食事会を開いたり。
中でも「サロメ」上演の話が興味深い。
浪漫劇場の松浦竹夫
三島の死後に上演が決まっていた「サロメ」はオスカー・ワイルドの作品だが、三島由紀夫が演出となっていた。だが、上演する浪漫劇場の主宰者の松浦竹夫が、三島の死によってパニック状態に陥り、この上演を中止にする、と宣言した。
気持ちは分かる。
だが、これを三島の妻、瑤子さんが説得して、紀伊國屋ホールでの上演に至った。演出家の死があろうとも、作品に罪はない。中止を故人は喜ばない。松浦竹夫に強くあって欲しかった、等色々あるのだろうけれど。
仕事があるのに割腹?
となると、ますますもって、三島由紀夫は演出する仕事があるにも関わらず、割腹自殺したのかしら?と興味が尽きない。無責任なのか、わずかな犠牲と腹をくくったのか、それとも「衝動に近いものがある」のか、言われているような「森田必勝先導説」なのか?
美輪明宏、愛人説
三島由紀夫が書いた黒蜥蜴で共演した美輪明宏と三島由紀夫は愛し合っていたのではないか?と噂がある。だが、2人のやりとりにこういうのがあるので、そうではないようだ。
三島)君はね、95%の長所があって、それは素晴らしいものを持ってる。だけど、あとの5%の短所がその95%の長所を吹っ飛ばすだけの最悪の短所、欠点だ。
美輪)へえ、素晴らしいじゃないの。そんな、95%の長所を吹っ飛ばす欠点なんてさ。名誉なことだわ。で、どういうことです?
三島)俺に惚れないことだ
美輪)私は尊敬する人には恋愛感情を抱きません。尊敬できる人はあくまでも尊敬している人。恋愛感情になってしまうと何かグレードが落ちるような気がするからです。
三島)君は誤解してるぞ。君と別れたあと、ある雨の日、帰っていく俺の後ろ姿を見てみろ。震いつきたいぐらいかわいそうだぞ。
2人は、芝居でキスシーンを演じていた。その芝居は三島が書いている。
そして、美輪明宏のコンサートを見に来て楽屋を訪ねた三島が美輪さんに言った言葉。
もうこれっきり、君の楽屋には来ないからね。今日も奇麗だったよ!なんて嘘をつくのがつらいから、もう来ないよ。
その一週間後に、三島は森田たちと市ヶ谷駐屯地へ向かう。
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ともあれ、三島由紀夫、川端康成、谷崎潤一郎の小説をまた読もう。
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