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「カポーティに乾杯」映画マーシュランド硬質バディ刑事

スペイン映画「マーシュランド」にシビれた。

ゴヤ賞

スペインのアカデミー賞のような映画賞の作品賞に輝いた。他にもいろいろな賞を受賞しているらしい。

スペインの映画賞の最高峰であるゴヤ賞で、作品賞や監督賞などを受賞したミステリー。1980年のスペインを舞台に、少女強姦殺人事件を追い掛ける2人の刑事が事件の背後にあるさまざまな闇を目の当たりにする。メガホンを取るのは、『UNIT 7 ユニット7/麻薬取締第七班』のアルベルト・ロドリゲス。『アイム・ソー・エキサイテッド!』などのラウール・アレバロとアントニオ・デ・ラ・トレらが結集する。緊張感に満ちあふれた物語とタッチに圧倒される。

シネマトゥデイ

鳥瞰視点

バディもの(2人の主人公)で、それが刑事となると、「ありがち」設定だけれど、映画の演出と漂う雰囲気、そしてこの頃のスペイン全体を包み込む暗澹たる空気感が、そのまま反映されてて、とても硬質で映画らしい作りになってる。

映画らしいというのは、小説でも表現しづらい事を、映画ならではの、の意。

中でも、カメラワークとカラコレに圧倒される。鳥瞰のカメラが見事で。全くもって、「完全なる真上」からの撮影なので、絵の迫力が違う。徹底してる。

見れば解るけど、冒頭のタイトルバックでシビれる。そして色合い。

どうやったら、こんな綺麗な色味が出せるんだろうなぁ。惚れ惚れしちゃう。どのシーンもね。そして、雨の使い方が渋く不安定さなどいろいろなことを暗示。

フランコ政権後

舞台は1980年のスペイン。アンダルシア地方。つまりフランコ政権後の民主化へたどたどしく進む、不安定な情勢。それがそのまま事件をこんがらせている部分となる。

現代の人間が見ると、その違いが不思議に感じる要素でもあり、見ていくうちにその物差しに自分がアジャストさせられていることにも気づける。

みんなが生活苦で。それが理由でいろいろな事があり。つまり、事件も映画の中に出てくる貧困も、いろいろなものが「時代による必然」ぽく描かれているが、勿論政権批判などではないし、政治にもの申すワケでもない。

シンプルに物語の状況の見えてこない悶々とした気持ちにさせる流れや、想定外の事実の晒され方、等、そういった要素に強い説得力を帯びさせている。

あらすじ

1980年、スペインのアンダルシア。湿地帯にある小さな町で、2人の少女の行方がわからなくなる。やがて彼女らは激しい拷問を加えられた果てに殺される。ベテラン刑事のフアン(ハビエル・グティエレス)とマドリードから左遷されてきたペドロ(ラウール・アレバロ)は、これまでにも似た事件が起きていたことを知る。調べを進めていくうちに、貧困、汚職、麻薬密売、小児性愛といった町と住人が抱える闇を目の当たりにするフアンたち。そんな中、新たな少女失踪事件が起きてしまう。

シネマトゥデイ

奥深いエッセンス多し

映画なのに、子供向けではないので、勧善懲悪の「めでたしめでたし」といった、昔話風の悪は滅びる系ではない。誰が善なのか、誰が悪なのか。そのあたりも入り乱れる。それが「見方を冒頭に指定する見やすさ」を醸成しないので、僕の好きな映画となった。

フアンの過去、その他

主人公フアンの過去はとても異質だ。そして、その内容が少しずつ暴かれながら、事件は解決へと向かう。とはいえ、複数プロットではないので、ストーリーの構成を見失う事はない。まっすぐ見られるのに、多層イメージを植え付けるのは、不思議な映画の持つ力ね。

カラコレの勉強中の身としては、何しろその勉強のやる気をそぐ、圧倒的な「色彩」ね。それがビックリで打ちのめされた。嗚呼。

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ちなみに、このブログ記事のタイトル「カポーティに乾杯」というのは映画本編の中にある台詞。

カポーティってアメリカの「トルーマンカポーティ」の事だと思うけど、要は「冷血」だよね。名探偵登場は1980年には書いてない。

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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。