猛烈に面白い映画。
猛烈に面白い映画「作家、本当のJ.T.リロイ」。
漫画「私が見た未来」を読んだ際、この漫画のブーム再燃のきっかけとなった「偽作者」の活躍に強く興味を持った。利権は関係ない。儲けたいワケでもない。つまり詐欺罪という事にはならない。本当の作者も許した。それもそのはず、この「偽物」のお陰で「私が見た未来」は再販され、ベストセラーとなったのだから。
この漫画、「私が見た未来」は1999年に書かれた漫画で、2011年3月の「大災害」を予見していたとされる。もの凄い漫画だ。これについては過去に書いた。
そして、その「偽物」といえば! といって、この映画を思い出した「作家、本当のJ.T.リロイ」。
少年の振りをして書籍を上梓。だが、実は。
だが、実は、J.T.リロイは、普通の女性だった。つまり、作られた虚像だったのだ。このムーブメントそのものが猛烈に面白い。僕も二作目を買って読んでる。男娼が書いたと思うと興味深い。まぁ、勿論、この女性が書いたと思っても面白いんだけれどもね。
嘘だった事で世界中がフニャチンに
嘘だったことが発覚して、世界中がフニャチンになった。それまでウィノラ・ライダーであったり、色々なセレブが「J.T.リロイ」大好き! かっこいい!と上気していたにも関わらず、「え、フツーの女性が書いてたの?」とわかるとテンションは下がりまくった。そりゃそうだ。
なぁんだ。
てな事だ。しかし、
映画を観ると驚く事実にぶち当たる
だが、映画を観るとその「驚くべき事実」にぶち当たるのだ。話は作り物ではある。しかし、18歳の男娼が書いた物語ではないが、ホンモノの女性作家(J.T.リロイの作り主)の幼少期の「性的暴行」体験が元になっている。つまり、真実も偽物も「大差ない」という事実が映画のラストで見えてくる。それがとても興味深い。
映画の見所は
映画の見所は、まるでバンクシー騒ぎのように「世界中が騒いでる」所。その騒ぎの大きさに後に引けなくなった女性作家が、苦し紛れにJ.T.リロイを作り出していくプロセス。そして「ふざけている」わけではなく、どうしようもなく「その道」へ引き込まれてしまって、偽りの作者を作り出さねばならなくなった過程。これが必然にも見えて、とても興味深い。
つまり、見ていても、作者に感情移入しちゃうんだな。言い訳がましく見えないんだな。それが、発見でね。
何かと問題があったアップリンク渋谷で見たくて見ずに終わってしまった作品。ようやくサブスクで堪能出来て、マジ幸せ。そういう意味でいえば、「私が見た未来」に感謝だな。