メッシ退団がここまでもつれたのは、色々な事情があるが、手っ取り早く言うと、こういうことだ。

ラポルタの逡巡

FCバルセロナの前会長バルトメウのダメダメ経営を引き継いだラポルタ新会長は、公約に「メッシと契約延長」を掲げていた。にも関わらず、今回切った。

そのドギツイ言い方は、メッシが「出来る限りの事をした」と悲しんでいる事だ。つまり、50%オフの提案も受けた。その後は何もバルサから言われていない、とメッシは言っていた。これはその通りなのだろう。

つまり、それ以上下げてくれと言ったとしても、メッシなら飲みそうだと判断したラポルタがそりゃ、困るということで、ラ・リーガの規約(FFP)や、CVCの問題と重ね合わせ、加えて非難しても誰からも文句言われない前会長バルトメウの責任として、メッシを追い出した。

問題はギャラじゃない

例えば、コサキンという人気ラジオ番組があったとしよう。貢献してるからお別れはしづらい。だが、予算もないので、とか綺麗事を言うと「俺も作家もギャラいらないから」と言われて、交渉が難儀したとする。

それ以降、どんな番組も涙を呑んで「ここが悪かった。これが問題だった」と終了理由を悪く論えるようになった。としたら?

同じ事だよね。メッシに、ギャラが払えないので、と言えば「じゃあ、もっと下げてくれてもいいよ」と言いかねない。というか、きっとメッシは言っただろう。

だが、それがスペインの税法で半額に下げる事自体が問題、という話もある。
勿論、それ以上に、メッシの給料を70%オフでお願いした、なんてやってはいけないだろう、と。メッシのような世界最高の選手にそんな形で甘えたくはない!(小堺さんと関根さん、作家の鶴間さんや舘川さんをノーギャラで頼んじゃった、なんてTBSとしてはあり得ない!)というのも勿論あるだろう。だからこそ、追加交渉をメッシとはしなかった。

では公約は嘘だったのか?

といえば、それは違う。ラ・リーガのテバス会長と7月中旬に夕食を共にしたラポルタ(バルサの)会長は、話を聞いて「それでメッシと契約が出来る!」と快哉をあげていたらしい。つまり、メッシとの契約延長は、バルサの目的だった。

ラポルタは、CVCキャピタルパートナーズとリーガが契約合意した事で得られる大金を使えばメッシと契約出来る!と喜んでいたものの、よくよく調べてみると、

このリーガとCVCの契約だと、放映権料の10%がCVCに入る事になってるぞえ?
それって、バルサとレアルの2強が支えるリーガでこの2チームが損するだけじゃないかよ!ってことで、難色を示し、翻意した。

だが、その影には、レアルマドリーのペレス会長の影響も大きい。テバス会長は「あんなに喜んでいたのに、誰かさん(ペレス)と何度か話をした後に考えが変わったのかねぇ」みたいな事を言っている。

レアルマドリー会長のペレスは、「欧州スーパーリーグ」の会長でもある。プレミア勢を含めて、みんなが一気に脱退した、もはやバルサとレアルしか残っていない構想となったスーパーリーグ。UEFAのチャンピオンズリーグでUEFAを儲けさせすぎだろうということで、FIFAも暗躍して進めていた欧州スーパーリーグ。

レアルとしては、ここでバルサにCVCとラ・リーガとの合意に賛意を表されたら溜まったもんじゃない。ペレス会長は必死に説得したのだろう。

うちだって、それによって、セルヒオ・ラモスとお別れしてるんだから、お前らだって、メッシとお別れして、ちゃんと戦えよな!

って言われたんじゃないか、とか軽く想像できる。

ラポルタ、テバスのせいにしたが

なんで、僕は、もはやラポルタ会長は、ラ・リーガの規約のせい、融通の利かないリーガのせい、そして前会長バルトメウのずさんな経営のせい、としているが、その実、いくつかある選択肢の中から(もっとも短命だから切り捨てた方が得策と思える)メッシとのお別れを選んだと思っている。

メッシのショックを感じてる様子を会見でみてそう確信した。

ラ・リーガのテバス会長とFCBラポルタ新会長の舌戦

またメッシ退団が決定した後、テバス会長は『ツイッター』で「ラポルタはCVCとの合意を支持していた。しかしバルセロナ幹部には誰かさんと何度も話し合っている人物がいた」と記し、背後にレアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長がいたことを示唆。CVCとの資金調達は、ラ・リーガ全体としては今後プレミアリーグに近づくための後押しになりそうだが、放映権収入の10%を同ファンドに支払うとなれば、同収入比率の多くを占める2強(アトレティコ・マドリー含め3クラブで30%弱)が割を食う可能性がある。スーパーリーグ創設を目指すレアル・マドリーとバルセロナは、CVCと契約すれば今後ラ・リーガに縛り続けられ、他クラブのお守りもしなければならないと思ったのかもしれない。

なおテバス会長とラポルタ会長は、『ツイッター』を通じて火花を散らし続けている。テバス会長は、CVCに対してテレビ放映権10%の支払い義務があるとの指摘に対して「君(ラポルタ会長)はバルセロナのテレビ放映権50年分を抵当に入れるわけではないと知っているはずだ。今回の件は、放映権がさらなる価値を持つようになり、君たちの銀行でそれを担保にして莫大な借金を解決できるということだっただろう。君たちもそのことを理解していたはずだ」と記載。これに対して、ラポルタ会長は次のように返答している。

「やあ、ハビエル。私たちはそのようには解釈していない。実際、私たちの幹部はこのオペレーション(CVSとの合意)を進めている人々と話し合ったが、満足できる返答を得られなかった。契約条項は連結されて巧妙なものとなっており、今後50年にわたって私たちの権利の一部を譲渡することが含まれている。それにCVCが調達する額は、ラ・リーガの経営の10%を譲渡すると考えると、かなり低い額だ。私の最大限の愛情でもって、君にそう返答させてもらうよ」

GOAL

確かにCVCは危険な香り

ペレスの欧州スーパーリーグを進めるかどうかは別にして、CVCとリーガの契約に同意してしまうと、かなりややこしいことは間違いない。リーガを支えているのはバルサとレアルだ。

なので、ラポルタの言う「世界一の選手であっても、クラブの方が上なんだ」というのは理解出来る。「今、メッシと契約出来たとしても、今後50年のクラブの放映権を担保に取られるのは割が合わない」というのも理解出来る。

だが、CVCに合意した場合に得られる金を当てにしないとなると、選手を放出しまくらなければ、メッシとの再契約はあり得なかったし、実際に、不要な高額選手は全員居続ける事になった(かなり残念)。

一人(メッシ)とお別れすることで、色々な点で、主義を通せる事がラポルタがメッシとのお別れを決意した主因だろう。

選手に罪はない

なので、ウムティティやピアニッチに「お前らのせいでメッシがいなくなるんだ!」とブーイングするのはやめた方が良い。関係ない。そもそも、ウムティティの高額給料を承諾したのはフロントだし(前会長とはいえ)、ピアニッチを監督がいらない状態なのに獲得したのもフロントだ。文句を言うのは筋違い。

号泣させて貰ったけれど

メッシの会見では涙が出続けて、大変だった僕だけれど、それでも、やはり落ち着いて考えれば、いずれ来るお別れが早まっただけではあるので、それでいいと思える自分もいる。

感情論でいえば、暫く立ち上がれないけれど、頭では理解出来る。

チャビ、イニエスタ、ブスケッツ、ピケ、プジョール、メッシ、バルデス。黄金世代が大活躍したのだから、全員の給料をあげなきゃいけなくなるのは当たり前。そのつけが今メッシに集中しちゃった。

つまり、規格外の活躍を下部組織がしちゃったから給料も規格外に激増させなければならなかったし、仕方ないような気がする。

同時に、それにより「ロッカールームが力を持ちすぎている」という問題もあると思う。メッシは謙虚であり、敬意を忘れない。最後の挨拶の通り、今もそうだと思う。でも、周りが「機嫌を伺う」ようになってしまったことは間違いない。影響力が大きすぎるからだ。それはチャビもイニエスタも同じ。

安室奈美恵が「誰も自分に意見をしてくれなくなった」とさみしがっていた事を思い出す。言えなくなるんだな。万が一嫌われたらどうしよう。ってことだからね。あるラジオ局の人はあるラジオ局の事について言っていた「あそこまでパーソナリティを偉そうにさせちゃいけないってことなんだよね」ってね。

わがままを言っているつもりじゃなくても、わがままなようにされちゃったりするのが「立場」のよるもの。そうなると、つまりメッシが凄すぎる選手であるが故に、監督がリーダーシップを持てなかったりする。

ペップやルーチョみたいな人じゃないと、メッシを「使い回せない」。監督が言っても、メッシが難色を示していたら、他の選手がきかなくなりがち。つまり一枚岩でチームを作りづらくなる。

そんな問題も、メッシの再契約にはあっただろう。メッシは何一つ悪い事をしていないし、わがままを一度も言っていないのだけれどね。

つまり、メッシがいなければ、「ちょっと良い感じの監督」であっても、バルサを強くさせられる可能性があるけれど、メッシがいる限りは「チャビ」や「ペップ再来」とかじゃないと、「まとまらない」って不安が大きい。

そんな問題もあるのだろうなぁと、少し落ち着くと思えてくる。のよね。

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By 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。