これは、エマニュエアル・トッドの新書で、ちょい前に発売になったもので。文藝春秋に、何かがあると、原稿を寄せてる人なので、それがまとまって書籍となり。
エマニュエアル・トッド
文春新書から発売中。
以前、ポッドキャストでも触れたけれど、やはり何度読み直しても興味深い。そして、読む時期によって、これまた受け止め方に若干の変化が生じるのも面白い。つまり、自分のその時の気持ちで読み方が変わっちゃうような趣まである。
なのに、通底には氏の考えが揺るがず存在してる強さ。ううむ。
予言者
氏が予言者と言われるのは誰もが知るところ。
- トランプ大統領誕生
- 英国のEU離脱
- 中国の少子化が深刻化
「日本は核を持つべき」
そして日本に対してもハッキリと。特にこれは強烈。
だが、僕は、このトッド氏を一度として「テキトー」な人と思っていなかったので、裏張りする論客ジゴロでもないし、議論フェチでもない、と思ってきたので、読まずにおれなかった。
読めばそれはそれはよく分かる。嗚呼確かにその通り、と。
いや、だから、持つべきだ!と即思えないのは勿論なのだけれども、理屈としては、本当にその通りだと思える。
表面だけ触れるとこんな感じ。
米国に対する楽観と不安
言われるとイタタタだよね。そういうこと。アメリカを盲信してるのって、脳みそお花畑だよね!ってことね。
だって、日米同盟があるじゃん!
とかヤバイって。
核の不均衡が不安定化を招く
ヒロシマとナガサキは、アメリカだけが核保有国である時に起きた。
だが、今や中国も、北朝鮮さえも「持つ」国となっている。アジアで日本が持たない理由は何か?
今となってでさえ「アメリカを番兵に」というあの頃の教えを貫けるのか? あれはトルーマンの「猿(日本人)を言いなりにせよ」の返す刀で言ってたようなところもあるのでは?と思いつつ。
持たない理由がない。とは確かにその通りなのだけれど、その先に、「だって、こうなるよ」と書かれているのがいちいち納得出来る。
核とは戦争を不可能にするものだ
と。核を持つことはどういうことか?
核の保有は、攻撃的なナショナリズムの表明でも、パワーゲームのなかでの力の誇示でもありません。むしろパワーゲームの埒外に自らをおく事を可能にするのが核兵器です。核とは「戦争の終わり」です。戦争を不可能にするものなのです。
この書き出しで始まるこの章は、ビンビン刺さるものがあり。
それでも私はトランプ再選を望んでいた
そして、このドギツイタイトルの章も。
「高学歴の左派」は「低学歴の労働者」の味方ではない
というサブタイトル。あひー。読めば納得。そういうことか。
勿論だからといって、しっかりと事実を押さえておくことも忘れていない。のが氏の信頼出来る所。
ヒロシマナガサキに対してどのような考えか、日本に来て真っ先に向かったのがこの2県だった話、原爆に対する非難、
トランプが如何におバカさん大統領だったかの事実の列挙。そういった事実を敢えて省かずに、それどころかしっかり載せてる所で、「だからこそ」の部分の説得力が増す。
![]() | 老人支配国家 日本の危機 (文春新書) [ エマニュエル・トッド ] 価格:935円 |

![]() | 老人支配国家 日本の危機【電子書籍】[ エマニュエル・トッド ] 価格:880円 |
