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鬱漫画金字塔「愛と呪い」

鬱漫画ブームらしいが、評価によっては「ウシジマくん」も鬱漫画に入るらしいので、なんともいえない。鬱漫画の定義そのものが微妙な気もする。だが、これは、数人の評者が1位に上げていたので、読んで見た。こういうのは、家にあるのは恥ずかしいので、Kindleで購入して、ipadで読了。

父親に性的に弄ばれた幼少期

作者の自伝と実際にあった事件を絡めてノンフィクションとフィクションの橋渡しをしている漫画。

これを描く事で、あの頃の自分に、あの事について、「決着を付けてやる」という気概が強く感じられて、なんとも迫力が凄い。

売れなくて良い。だけど描かせて、と出版社に申し入れたらしい。凄みが違う。それは中身にそのまま表れている。

作者は女性で、ふみふみこサン。漫画は全三巻。

幼い頃に父親に性的に弄ばれた。だが、それを家族は「知っているのに、放置」していた。母親も解った上で「ちょっとあんたぁ、いい加減にしなさいよぉ~」と言いながら隣の部屋でテレビを見ていた。

なんだそりゃっ?!
これが、どうやら、作者のトラウマであり、創作の源であり、この漫画のキーフレーム。この時期のこの件が作者の人生に常につきまとう。何をする上でもつきまとう。恋愛。セックス。全てにおいて、つきまとっている。全てがこれが理由なのだ。それにより、壊れたしまった心。すさんでしまった小さなハート。苦しい。

愛と呪い

ハッキリとそのままタイトルにしている通り。親を愛し、呪う。とは別に、物事についても、愛し呪う。触れ合うものにも愛を感じ得るのだが、まるで愛を感じ得なかったりする。似たような友人がいたりして共鳴しそうだが、まるでしなかったり、それが怖かったり。

宗教学校。義務教育で通っていたのは、宗教校だ。それがまた複雑な精神状態の醸成の一助となっているようにも見えて深い。つまり、洗脳というものが、どう働いているのか? いないのか?

親のすることは「絶対」なのか? でもおかしいと思った自分は「悪」なのか?

色々交錯するイメージの連鎖。

鬱漫画ブーム

鬱漫画はブームのようで、定義は「鬱を描いたもの」であったり「読むと鬱になりそうな漫画」であったり。コレは後者。

だが。変なモノ好きな僕としては、まるで鬱にはなりそうにない。最後まで読める人がいないのではないか?と言われる鬱漫画だったので、それなりの覚悟をして読み始めたが、

三巻まとめて読んでも、小説の短編を一編読み終えた程度のポケットストーリーだ。グラフィックノベルのように、ゆっくりゆっくり味わいながら読んでもいいのだろうけれど、そうさせないテンポがなぜかあったんだよね。僕にはね。贅沢なコマ割とかが原因かなぁ。

感傷的なのが苦手なのかもしれない。小説の偉大さを改めて感じる事とあいなった。ただ、漫画なので、疲れていても、ガンガン読み進められるので、そういう点では良い。

そして、この作者が、これを書き上げた事で、人生がカチリと音を立てて切り替わっただろうと思われるし、それを読後に感じるので、そういう意味では、ハッピーな読後とも言える。このクソな父親がしてきたことは本当にヒドイ。

娘がいる僕としては、ipadのKindleで購入して本当に良かったと改めて思ったよ。ふー。

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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。