詳しく知らなかった朝鮮戦争。戦争オタクは、どういう兵器が跋扈していたのか?に強い興味を持つらしいけど、シンプルに知りたかったので読んでみたら、この戦で死んだ日本人がいた事実を知ることに。
わかりやすい朝鮮戦争(光人社NF文庫)
読んだのは、文庫になって出たばかりの「わかりやすい朝鮮戦争~民族を分断させた悲劇の構図~」。三野正洋著。光人社NF文庫。
そもそも、僕は、韓国料理も好きで、韓国映画も好きだけど、なぜか「韓国嫌い」タレントにカテゴライズされているらしい(そもそもタレントではない)。
ヨン様ブームの頃だろうか、女房が韓国ドラマにハマっていて、その頃、夢中になりすぎて夫の金を使い込んでその韓流スターを追い続けホストクラブにハマる女性よろしく散財して夫と離婚に!なんて憂き目に遭う女性が社会問題になっていた。
それについて、あー、女房がそんなんなったらヤダナーと言ったことがある。それが原因らしく、「韓国嫌い」な男と認定された。未だにネット番組とかから「韓国のここが嫌いだ!」ってスタンスで発言お願いできませんか?と出演依頼が来る。全部断ってる。
でも、メディアの公平性って事で言えば、そうやって、「スタッフのニーズに応えるような嫌韓家ではないので」という理由で断らずに、あえて出演して「韓国すげーいいじゃないですか、女性も美しいし、料理もうまいし、映画も国が力を入れてるだけあって、大好きですよ」とか言った方がいいのではないか?とも思える。
「ゴーマニズム宣言コロナ論」についてのブログで、ワイドショーは不偏不党のようで思い切り偏っている、と記したばかりだ。
つまり、そういった嫌韓番組に出て、「日韓ワールドカップでの韓国人選手の振るまいは嫌いだし、慰安婦問題もいい加減にしてくれやと思うけど、それ以外の韓国文化そのものは嫌いではないですよ」とシレっと言うことの方が「不偏不党」に寄り添っている。という見方もできる。つまり、こういう事がメディアの問題の根幹にあるのかな、なんて思ったり。
つまり、コロナに関して「ただの風邪ですよ」と言ってた人は二度とワイドショーに出ていない。だが、それは「呼ばれなくなった」のではなく、「出るべきじゃないみたいだな。お呼びじゃないようだな」と自主規制かけて遠慮したのではないか?うーむ。考えると頭わいてくるね。
閑話休題。
ともあれ、嫌いじゃない、けど、嫌いな部分もある、という多くの日本人と同じ立場でありながら「それにしても知識が足りないんじゃ?」と感じる後ろめたさを補填すべく、出たばかりの「わかりやすい朝鮮戦争」を買って読んでみた。面白かった。へー。いろいろあるなぁ。なので、今は、我らが孫崎享の「朝鮮戦争の正体」も続けて読もうと思ってるぐらい。というか、こっち先に読みたかったな。
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阿呆な作戦多し
- サンダーボルト作戦
- ラウンドアップ作戦
- キラー作戦
- リッパー作戦
まるで、プロレスの試合で、
早く決着すると観客がつまらないから、もう少し中盤の応酬を入れて、醍醐味を味わって貰わないと!
とわざわざ長引かせる演出かのように、押したり引いたりを繰り返す。その時は、それぞれ必死なんだけど、結果的には、元の木阿弥になることが多い。
いろんな国が入ってくるからね
いろんな国が入ってくるからね。あ、そう。じゃ、うちも行くよ。と中国も加わり。そんなに本格的には介入しないだろうなぁと思っていると、
ええええっ、そんなに人海戦術で攻めてくるのぉお?
という予想外の投入人員にびっくりしてあたふたしたり。
マッカーサー「老兵は死なず」
そして、マッカーサーの権力持ちすぎ問題もこの戦争で露呈して、粛正される。この美しきかなアメリカのシビリアンコントロール(文民統制)が、無駄に長引く戦争を今のピースフルな着地点に導く。
スターリン
さぞ、本気で戦争大好きと思われてるスターリンが、それほど乗り気じゃなく、おつきあい程度のスタートだったことも驚かされる。えええっ?! そうだったのかぁ?!ってね。
中国の人海戦術は強いけど
そして、中国の、人をとりあえず、送り込む、まるで「ロードモナーク」というゲームのように、
ガンガン兵士を送り込む。どれだけの人数が死んだのか?ではなく、「国民総人口あたり、何%がやられたのか?」で考えるという、恐ろしい捨て身の人海戦術。それはそれで恐怖を与えるよね。連合国軍にね。
代理戦争的な
北朝鮮と韓国との侵略戦争なんだけど、北朝鮮には中国とロシアが、韓国にはアメリカはじめ連合国軍が加勢して、争いを展開する。
そもそも、アメリカは北朝鮮が攻めてくるとは思ってなかったから、初期対応がとても遅れた。
制海権はアメリカに
だが、半島なので、制海権はアメリカにある。つまり、
どこから上陸してくるのか、判らない?
のだ。で、「仁川上陸作戦」となる。これは成果を上げた。
マッカーサーは戦い続けたい
成功体験(第二次世界大戦)直後なので、マッカーサーは戦い続けたい。相手を殺すの大好き!なのだが、シビリアンコントロールがしっかり機能して、マッカーサーは外される。正しい判断だ。無駄な死人を増やすだけだ。結局38度線を境に争っているというのは、戦前戦後、まるで変わらないじゃないか?!なのでね。
新型コロナに繋がる細菌兵器疑惑
北朝鮮側が、「アメリカが細菌兵器を投じてきた」と国際世論に訴えようとした事があった。これがその爆弾だよ!と写真まで公開して。
つまり、原爆のみならず、こういう「禁じ手」まで容赦なく使う国だぞ、ふざけるな!と濡れ衣を着せて、グローバル視点を味方につけようとしたのだな。
だが、これは戦後すぐに「ええと、作り話でしたぁ」と認めている。
この事を思えば、今回のコロナの「アメリカ発祥説」の言いがかりも、
まるで変わってねぇじゃねぇか!
なのだけど。
登場人物
毛沢東、金日成、ダグラス・マッカーサー、李承晩、スターリン。いろんな思惑でいろいろな立場の人が絡む。
それにしても連合国は、ホントに沢山の国が参加してる。阿呆くさい。そりゃ憲法九条を大事にしたくなるわ。
朝鮮戦争で命を落とした日本人
この朝鮮戦争というのは、いわゆる「朝鮮特需」で日本の戦後の復興を急加速させてくれた要素が一番日本にとっては大きい。
連合国が、つまりアメリカが参戦した事で、沢山の兵器を作り、まかなった。それはとても有り難い事で、そういった極東地域でのリーダーシップを地球番長アメリカが獲る為にも、日本はとっとと「復興して貰わなければならなかった」のだな。
なので、対岸の火事と思っている人が多いと思うけど、実は、この戦争でも死んだ日本人がいた。うむぐ。悲しい話。
機雷を沢山ばらまかれた海で、それの片付けをしなければならなかった。だが、アメリカには「機雷撤去」のプロがいなかった。第二次世界大戦での機雷撤去は、日本にやらせていた。自分で片付けておいてね。と。
それにより、アメリカ軍が慣れない機雷撤去をやろうとしてガンガン人が死んでいくのを見かねた米軍は、「秘密で日本にやらせた」。
日本は海上保安庁から、依頼された民間業者が担当に当たり、数人がそれで命を落とした。そのうちの1人だけは「名前」が記録に残っているらしい。
海上保安庁といえば、「宮川賢MT」で行った資料館があるところのあれね。北朝鮮からの攻撃をかわして拿捕して、侵略船を資料として飾り、その勇気を自画自賛するあれだ。
掃海部隊の参戦について朝鮮戦争にさいして、戦後米占領軍によつて温存された、海上保安庁所属の旧日本海軍掃海部隊1,200名が機雷掃海のため参戦した。
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掃海作戦に従事した日本人
で、掃海部隊として派遣された1200人の日本人の中でも当然死者が出た。それが朝鮮戦争で死んだ日本人だ。つまり、その事実がつまびらかになった時の総理の中曽根さんも、
「憲法違反だけど、しゃーないね」
と開き直っていたのだろうか?
日本は、ベトナム戦争でも、朝鮮戦争でも、間接的に「大活躍」した国であり、きれい事を言えた義理じゃないのはよく分かる。しかし、解釈ですり抜け続ける事なく、「憲法」はちゃんと守っていかなきゃダメよね。
だが、こういうのを経て「JSA」とか見るとこれまた受け止め方が大きく異なるのだろうね。
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読後の変化
結果、読んでみて、自分の中で、韓国についての考え方が変わったかというと、何も変わらない。兵役を強いられる若者は可哀想だと思うし、隣国にイタイ首長がいれば、それも仕方ないと同情も禁じ得ない。なので、韓国に対する印象は変わらないけど、それよりも、自国について、
アメリカの属国で居続けていいの?
とか、
辺野古移設すると管総理言うけど、どーなるのかな
とか、
反対する沖縄知事は、アメリカとお別れして再軍備をすべきと言いたいのかなぁ?
とか、いろいろ日本の事ばかりを考えてしまうので、戦争ってイヤなものだなと。