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大川原化工機のこと

何しろ不愉快極まりない話。いよいよ大川原化工機への一連の捜査が不当と断じられた。そもそも、これはどうして起きちゃったのか?

事の概要は

大川原化工機という会社は、噴霧乾燥機(=スプレードライヤー)メーカーのリーディングカンパニー。

噴霧化工機というのは、液体を粉に変える技術で、漢方薬とかご飯にかけるふりかけとか、まぁ色んな所で大活躍するのはそうやって考えるとよく分かりますよね。

で、経産省の許可を得ずに輸出したという容疑で令状が出て、社長以下重要人物が自由を奪われ、うちの一人はガンが発覚したのに然るべき治療を受けられず、他界。

で、この捜査のやり方とか、そもそも逮捕ってのが違法だと認定されたことに対して、大川原化工機が損害請求を訴えて一億数千万円を勝ち取りつつある。そんな話。

そもそも、なんで令状出たの?

どうして輸出が悪いのか? この頃、日本の科学技術流出に歯止めをかけるべく、政府がそういった方針を強く打ち出したのが原因。

それは、その科学技術流出により、国益を損ねる、日本国経済が無意味に他国に出し抜かれちゃうじゃんか!ってこともある。また、兵器転用される恐れもある。

なのに、一企業の「利益」のために、国外へ頒布されたらたまったもんじゃない。それを止めようってこと。

で、その「第一号」としてつるし上げたかったのが公安。だから、最後まで悪あがきをしていた。

真実を吐露する警察官が出てきた。

だけんども、「ねつ造だと思います」とハッキリ答える警察職員が出てきた。「個人の思惑でゴリオシしてまっせ」と言う人も。

公安ってのは、政府と繋がりが深いからか、政府の考えはおかしくないが、止める為にどっかを吊し上げるのだああ!と鼻息荒くなった様子。

では、どうして大川原化工機に白羽の矢が立ったのか? まぁ、技術的に素晴らしいというのもあるが、「輸出しちゃいけないものを輸出している」と思えなくもない、という「独自解釈」で判断された。当初は経産省はここに令状出す事を拒んでいた。にも係わらず、途中から容認に至った。だが、この容認に至った理由が「無根拠」であることも指摘されて世紀の大冤罪となった。

大企業だと警察のOBがいる。でも、弱小企業だとそもそも輸出をしていない場合も多い。中小企業を狙って絞り込め。こうして、そもそも「どこか一つはスケープゴートにしなきゃね」という状態だったようだ。で、従業員数100人程度の会社を狙え。と。

狙われた企業はたまったもんじゃない。前述のガンでなくなった職員の方は家族に「今にみていろ」と語っていたそうだ。そもそも、大川原化工機は「人々全員を幸せにする」事を社是としていた。つまり、それにより国益を損ねるような可能性があるような、まして法に触れる輸出なんかするワケがない。その強い「会社への信頼」が大川原化工機社員全員にあったのだろう。

誰一人、引き下がる事はなかった。素敵な企業です。そして強い。

経済安全保障上の、

具体的には、軍事転用出来るものを韓国、中国に輸出したという濡れ衣なのだけれど、丁度安倍晋三が肝いりで経済安全保障に目を光らせていた時期。ピッタリ重なる。どこでもいいから、ひとつ挙げろ!という事だったのか?

一連の捜査は警察内部で高く評価され、外事1課は警視総監賞と警察庁長官賞を受賞する。

 賞状には「周到適切な組織捜査を推進して被疑者を検挙し事件を解決した」「多大な成果を収めた」などと記されていた。
(毎日新聞/【遠藤浩二】)

 警視庁公安部外事一課。そこに注力する時期だったようで、生け贄にされた。

では、技術流出はイイの?

ならして事実を見て見ると、安倍晋三がいないし、そもそも、この経済安全保障がナンセンスなのか?という風に誤解する向きもあるかもしれないけど、そういうこっちゃない。

まずまずもって、大川原化工機は、「技術流出」していないのだから。違法な技術流出をしていないのだから。

興味のある人は詳しく見て見れば判るけど、軍事転用も出来ない事をちゃんと企業は確認の上で作り続けている。ある程度のアバウトさをもって「いけんじゃね?」「ばれないんじゃね?」って突き進むような無責任な企業ではない。なかった。

だけど、例えば、東京の火葬場のほとんどが中国のモノとなってしまったように、色々憂うべきことはある。つまり、トランプさんからは、自国の利益を国全体で考える必要性とかについて(のみ)は見習うべきなのでしょう。

技術流出の具体例

ともあれ、謝罪はしない、と名言してる検察側に中指立てまくるこれからでしょう。そして、大川原化工機の皆さんには同情を禁じ得ないし、ひいては企業努力を続けてらっしゃる中小企業のエンジニアに尊敬の意を表し続ける。それはハッキリしたし、

結局の所一億数千万円でズタボロにされた大川原化工機の皆さんの心中慮るや悔しいとしか感じない。

が、そもそも、

技術流出の過去にどういうものがあり、どういった事が理由となって、そのように「技術流出を防ぐのだ!」の雰囲気になっていったのだろうか?

つまりもっと取り締まることが出来ていれば、技術流出は防げたのに?ということがあったからでしょう?ということで、調べて見ると。いくつかあった。

高機能鋼板の技術流出

新日鉄住金(当時)が、長年かけて開発した高機能鋼板の製造技術が、元従業員によって韓国の鉄鋼メーカーに流出した事件。

2012年には損害賠償を命じる判決も出ている。

これにより、基幹産業における重要な技術の国外流出を防ぎ、国際競争力に悪影響のないように!の大きな警鐘となったっぽい。

大学や研究機関からの技術流出

日本の国立大学などでジェットエンジンや耐熱材料を研究していた中国人研究者が、帰国後に軍需関連企業傘下の研究機関で日本で得た知識を軍事転用したとされる事例があった。

これにより、「学問の自由」という理想が持つ影のぶぶんを明らかにしちゃった。大学や公的研究機関がもつオープンな研究環境がこういったリスクを孕む事を浮き彫りにした。

フッ素化合物の合成

2023年には産業技術総合研究所の中国人研究員がフッ素化合物の合成に関する先端技術情報を中国企業に漏洩した疑いで逮捕される事案も発生。

これは「国の研究機関からの情報漏洩」なので猛烈異例。日本の先端技術を守る経済安全保障の観点からも大きな問題となったらしい。

……で、次に企業を吊し上げろ!になったのか?

サイバー攻撃

サイバー攻撃により、大手電機メーカーから防衛関連の情報が記録されたデータファイルが流出した可能性が判明。サイバー攻撃なので、従業員による直接持ち出しではない点でも機密情報の漏洩において脅威となったそうな。そりゃそうだ。

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正義感のある警察官が三人いたことにより、助かったけど、みんながそうありますように。

なので、何やってんだよって話

と、振り返ってみたけれど、先端技術の漏洩により色んな残念を味わってきた日本の歴史がみてとれる。他国に漁夫の利をどうぞってな具合のようで。

それは、そのぐらい日本のエンジニアが優秀であることの証左だし、それが「唯一無二」の技術であることも誇らしい。そして、それを「国益」であり、国の財産と捉えて、国が後押しするは勿論、守る努力がもっともっと必要ってことを表してるのかな。

なので、外事一課の公安のこの一件(大川原化工機事件)は、公安の残念な所業によって、更に「先端技術漏洩」が進みかねない。法律がないからオウンゴールしてた今までと違って、法も整備されたのにオウンゴールし続ける事になっちゃうかも。それは悔しいね。

でも、大川原化工機という会社のように企業理念の強く正しい会社が多ければ大丈夫なのかな。

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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。