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【袴田巌】審理差し戻し(最高裁)

猛烈に嬉しいっ。少し落ち着いた。安心出来る。本当に良かった。といっても、情報に色々左右される印象なので、真犯人が誰なのか?はまだ判らないままなのだけれどもね。

袴田事件

昭和41年に静岡県の味噌会社の一家が殺害された強盗殺人事件で、一旦死刑が確定して、収監されていた袴田巌さんがシャバに出たのは日本中を驚かせたと同時に歓喜させた。

自供はしてた

自供はしてたんだよね。だが、それが「言わされた」という捜査や取り調べの問題点が後からクローズアップされる。とはいえ「自供したことは間違いない」のだから、うーん。という所だった。

寝間着と味噌漬けの作業着

で、その自供の中で、寝間着でやりました、と言っていた(言わされた?)のだが、暫くしてから、味噌会社の味噌樽の中から血がついた作業着が出てきた。

だが、当時はDNA鑑定が出来ないので、ほれ、やっぱりお前だろう!となったのだが、その作業着はサイズが袴田さんとは合わなかった。つんつるてんだった。

そして、また、樽に長い間沈んでいたら、もっと変色する筈だけど、あまり変わっていない。そこも弁護団は指摘。

冒頭陳述との食い違い

そして、この裁判中「作業着が見つかりました」というのが飛び出してきた事により、「裁判の雲行きが怪しくなってきたから、作業着に血を付けて樽に入れたんじゃねぇの?」と世の中の人たちは半分が思っている。

なぜなら、途中から「袴田巌の自供とは食い違う」のに、「これが犯行時に着ていたものだ」と言い換えるのは、「明らかにおかしい」からだ。

そして、それを「袴田巌が嘘を自供した」という事で片付けられているけれど、それもまた、自分に得にもならない嘘自供をするワケがない、というフツーの考え方から「おかしい」と思われている。僕も思っている。

だが、識者の何人かはこう反論する。

冒頭陳述を覆すというのは、それだけで大ダメージであり、検察側が自分のポカを認めるようなものなので、覆してまで「見つかりました!」という事は、よほど「それが正しい情報であり、真実を詳らかにしたかった」からに他ならない。とな。

なるほど、ものは言い様だね。

袴田巌サン

収監されて然るべき

そして、その検察側の識者は、今(ついさっきまで)は収監されるべきだとも言っていた。

おかしいよ、となって結論出てないまま、一旦釈放となった

静岡地裁で、DNA鑑定の結果がその後出てるんだから、再審すべき、となり

東京高裁で、地裁の判決はおかしいので、再審すべきじゃないね、となり

今回、最高裁で再審すべきだよ、となって差し戻し決定!やったー!(今ここ)

だが、この検察擁護派は、高裁が再審すべきじゃない、と決定した時点で、収監しないと、やってること矛盾してるよね、つじつまあってないよね、という意見。それも判る。

世論や感情論に後押しされた部分が強いんじゃないか、とな。

そして、静岡地裁は「えん罪ありき」で進めてる節があり、DNA鑑定を信じるに足りるを前提にしており、疑問だ、と。

なので、高裁の、再審すべきじゃないという判断も理解は出来る。ただこれは、「検察の立場からして、圧迫取り調べで言わせました」を認めるような事にも繋がるので、よほどの勇気がないと地裁を支持しづらい、というのも判る。ただ、僕から見ると「最高裁に任そう!」という風にもおもえていた。

生きているうちに決着

袴田巌サンが生きているうちに、無罪が証明されればいいな、と思う。だが、勿論、無罪ではなく、袴田サンが犯人であるという可能性も半分ある、と見るべきで。

なぜなら、袴田さんは冤罪という舞台の悲劇の主人公であるが(そう思われているが)、実際は、容疑者であり死刑囚だ。そして、犯人が確定していない事件だが、一家4人の被害者には遺族がいるし、その人たちを思うと、我々が目にする袴田さんに感情移入しすぎるのはあまり良いことではない。

だけど、生きているうちに決着すればいいと思う。もしも袴田さんが犯人でなかったとしたら殊更だけど、犯人でないとしても「強引すぎる手法で屈した」事はそれが誰をも屈する肉体的精神的にドイヒーな取り調べだったとしても、認めてはいけない事を認めてしまったという非が多少はある、とみるべきなのかもしれない。

なので、最高裁の決着を見るまで、なんとも言えないけれど、僕は個人的には、袴田さんは無実だと思っている。

理由は、検察擁護側が言う「冒頭陳述を覆すという恥ずかしい事態をおしてまで作業着という証拠を出すということは、正しいとしか思えない」というのと同じく、

犯人だとしたら、50年も「無罪」を主張するとは思えない

からなのね。勿論、弁護士たちが代わりに戦っているというのもあるかもしれないけれど、本人もやってたら「いや、もー、いーよー」と遠慮して静かに刑を待つ、としか思えないからね。


「もーいーよー」となってるかもしれない人たち

そして、袴田さんを一人称として考えないで俯瞰で見て見ると、「もーいーよー」と思っているかもしれない人たちがいる。

そう。被害者遺族だ。まるで報われない。

犯人が分からない。誰を恨めば良いのかも判らない。
しかも、冤罪かも?になってるから、袴田サンの現況を「え、俺のせい?」みたいな釈然としない気持ちに包まれているかもしれない。「ちゃんと捜査しやがれよ、タコが!」と腹立っているかもしれないし、「誰でもいいから、早く1人死刑にしてくれや」と思っているかもしれない。

袴田さんの裁判が続けば続く程、被害者遺族は、気持ちの整理がつかないし、決着していない大きな案件を抱えたまま生き続ける事になってしまっている。同情しかない。

人が人を裁く限り、過ちもあるし、でたらめもありうるって事みたいです。
ともあれ良かった。と僕は思う。喜べる号外でした。個人的には。

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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。