映画「ホテルルワンダ」は事実だと誰もが思っている。というか、思っていたし、いろんな美談が語られているよね。しかし、そうでもないらしい。
元ホテル支配人ポール・ルセサバギナ容疑者は「話を盛っていた」?!
元支配人(今回の容疑者)は、人に「美談」を彩って話している!と言っている人がルワンダにいる。
ふむふむ。うさんくさい話だ。つまり、映画のような美談ではないのか?
ルワンダでは「ホテルルワンダ(映画)」は「上映禁止」だったそうな。ふーむ。何やらきな臭い。
そして、今回の「テロに関与した」という事で「逮捕」。
と、ここまでを見ると「美談の英雄」は「テロ犯罪者」だった。ということになっちゃう。
ダブル・ジェノサイド
だが、そんな短絡的でもない。そもそも、ルワンダの大虐殺は、こういう風に世界的に受け止められているよね。
「ルワンダ虐殺では、フツ人の過激派が、同じフツ人の穏健派や対立するツチ人などを多数殺害。ツチ人主導のルワンダ愛国戦線(RPF)によって制圧されるまでの100日間に、約80万人が殺された。」
はい。そう思ってましたけど。映画でもそうだったしね。え、違うの?
どうやら、これは、違うようです。Wジェノサイドだそうです。
1994年のルワンダ・ジェノサイドの通説は「多数派フツが少数派ツチを虐殺した」とし、ルワンダ現政権のルワンダ愛国戦線(RPF)は「ジェノサイドを止めた救済者」とされている。が、著者の調査によって、下記の事が明らかになった。
ニューズウィーク日本版
1)フツがツチを、ツチがフツをと、双方向で虐殺が展開された。
2)RPF、とりわけ、RPFのリーダーであるポール・カガメ氏(現ルワンダ大統領)の目標は、フツを政治的・軍事的権力の座から降ろし、ツチのリーダーと置き換えることだった。
3)RPFが関与した3つの重大な罪(1990~1994年のルワンダ内戦中の市民の殺戮、ジェノサイド勃発の引き金となった1994年4月6日に起きたハビャリマナ大統領の専用機の撃墜、そしてジェノサイド中の大量殺戮)は極めて残酷かつ巧みな方法で実行され、RPFにとって都合の悪い情報が隠され、操作された。
つまり、どっちもどっちだった。ということのようです。20年の取材を経て、Judi Reverが命がけで調べた事。
現大統領と元支配人の確執
で、現大統領はRPFなんだけど、「民族抗争を起こしちゃだめ」という理由で、粛正してる。その手がついに元支配人にも伸びた。この元支配人は、
「あのルワンダの虐殺は、RPFの一部の人間が関与してる」
と言っていたのだ。それが面白くなかったのだろう。現政権はRPFだからね。
で、元支配人は英雄じゃなかったの?
の話に戻すと、僕ら見た感じだとこんなことが浮かび上がってきた。
- 元支配人は話しを盛って美談にしていたらしい
- 「ホテルルワンダ」は上映禁止
- だが、それは現大統領がRPFなので、RPFを悪く言う元支配人がしていること(上映禁止)
- そもそも、大虐殺は「双方」が行っていたので、もとより美談は存在しない
という具合。じゃあ、どっちもどっちなのか? どちらかというと、周庭さんが逮捕されたのと同じような感じのようです。国家転覆罪とかで逮捕された人もいるしね。
そして、元支配人は明らかに「現大統領」をよく思っていない。つまり、よくある「困ったちゃん大統領」の粛正の餌食になったのか。
援助を集める事ができた
だが、こんな見方もあるらしいので、話はどんどん「複雑」になっている。
あれは、投資だったんだ。
え?あれってなんですか? 大虐殺の事ですか?
そう。あれにより、ルワンダは国際社会からたくさんの資金援助が入るようになり、研究者やジャーナリストが押しかけて経済成長が進んだ。「大虐殺」という「投資」があったからこそ、今がある。
なんだ、そりゃ。あくまで一つの見方だろうけれど。なぜなら、隣のコンゴにまで及んだ虐殺行為は「それを演じていた」とは間違っても思えないのでね。
なぜ国際社会が問題化しないのか?
でも、この現大統領の事を国際社会では、褒めあげてますよね? 今回ホテルルワンダの元支配人をテロ容疑で逮捕しているにもかかわらず。気に食わないやつを逮捕!してるけど。
どうして、問題にしないのか? それは、ルワンダが世界一「PKO派遣」してる国だかららしい。へぇ~。悪く言えない理由があった。PKOは政争の具となっている。
俺の結論。
元支配人は、ホテルにかくまうほどなので、気骨ある人であることは間違いなく、であれば、現大統領への不満(とりわけ「おまえらジェノサイドしてたじゃねぇか!」等)はバーストしてもおかしくない。そして、荒っぽい手を使う大統領であれば亡命している元支配人であろうとも「逮捕」しかねない。/ダブルジェノサイドがあった/現政権も殺してきた/コンゴ東部の紛争は、元々RPFの責任じゃねぇか。
なので、ホテルルワンダの元支配人は、偽善者だったわけではない(僕の理解)。
人権活動家として表彰されているのは、何も変わりなく、周庭さん逮捕と同じ印象。
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