マシュー・ウォーカーの「睡眠こそ最強の解決策である」が何しろ面白い。日の光を浴びる事が睡眠の質を上げるなんてまるで知らなかった。へー。
ビル・ゲイツ推奨
マイクロソフトのビルゲイツが「今年読んだ本」に選んだ事で注目を集め、この「睡眠こそ最強の解決策である」という今ひとつのタイトル兼惹句で安っぽく感じられてしまう書籍だが、猛烈に面白くてためになります。
全てのパフォーマンスが驚異的に高まる!
と腰巻きにあるのも納得です。
まず、大抵の事って、「知ってるつもり」にあってるでしょ? でも、睡眠について、意外な事実が沢山ある。
そもそも、このマシュー・ウォーカーって人は正真正銘の「睡眠オタク」だ。つまり、「好き」な人に勧められると興味深いでしょ。それと同じ。説得力も帯びて、気付くとどんどん睡眠について勉強してしまっている。
そして、それが、俄然、自分の日常に役立っていく事だろう。それはハッキリしている。
高血圧で苦しむ僕は、過去の自分にこの本を読ませたい
だが、残念ながら、読んだ時期が遅かった!と悔やむ部分もある。
若い時に、不摂生をして、睡眠不足を厭わず仕事をしまくって生活していた人は「50代から高血圧になる」というデータがハッキリでているらしい。うぎゃあああ。そういうことだった。トホホ。なんかこんな感じね。
あまりにも受け売り出来る部分が多いので、実際に読む事をお薦めするけど、まだまだ勉強出来る事って身近な事にも沢山あるんだなぁって思った。
それは、この本で紹介されているデータがどんどん増えているから「証明されていく」事実があるってことなんだな。きっと。
ノンレム睡眠で情報を整理して、レム睡眠で情報を統合する。
このレム睡眠とノンレム睡眠についてめちゃんこ詳しく実験したりデータを集めたりしてるので、本当に説得力があってさ。
演劇をやっているとね、必死に台詞を覚えようとするでしょう。5時間やっても全部覚えきれなかった夜。疲れて寝ちゃう。だが、起きると台詞が入ってたりするんだよね。
え? どういうこと?ってね。
役者は誰でも経験あると思うんだけど、それはこの本を読んで「そういうことだったのかぁ!」と納得出来る。
また、それが「頭の中の話だけではなく、動作などフィジカルな要素」にも繋がっている。
あるピアニストが練習しても弾けないフレーズがあった。何度やっても出来ない。だが、出来ないまま寝たら、翌朝「弾けた」というのだ。
それは、明らかにこの本で著している事が影響してる。これだけを知ると「非科学的な話」と思うでしょ? そうじゃないんだよね。眠りが脳に影響を及ぼし、「動作」などにも影響を与えている。
読めば納得なので、説明省くけど。
つまり、「記憶」なんてレベルだけの話じゃない。睡眠が頭に与える影響が大きすぎて、どうして今まで人類は睡眠を軽視していたのだろう?と改めて痛感する。
ツァイスラー博士も指摘しているように、企業は喫煙、アルコール、ドラッグ、セクハラ、パワハラ、怪我や病気の予防などには、つねに厳しい目を光らせている。しかし睡眠不足となると、容認されているどころか、むしろ推奨されているほどだ。
睡眠こそ最強の解決策である(マシュー・ウォーカー)
この態度はなかなか消えてくれない。というのも、一昔前には、仕事をする時間が長いほど、成果も生産性も上がると信じられていたからだ。しかし、産業革命時代の工場で行われていたような単純作業でも、この法則はあてはまらない。これはまったくの誤解であり、しかもその代償は大きい。
アメリカの4つの大企業を対象にした研究によると、睡眠不足による生産性の低下で、従業員1人あたり年間で2000ドルを失っているという。さらに重度の睡眠不足になると、その額は3500ドルになる。
学力への影響
これは受験を控えたお子様をお持ちの方には強く伝えたいけれど、睡眠が学力向上に大きく関与している事も、この本を読むと解る。
徹底して試験(治験?)が行われている。
睡眠時間5時間の人、
睡眠時間8時間の人、
それ以外は全く同じ条件で生活をして勉強をしてテストをする。ハッキリと5時間睡眠のグループの方がテスト結果が悪い。驚くレベルで明確で。
寝不足の車の運転
他にも、寝不足で車の運転をした場合に事故を起こす確率が猛烈に上がるのはハッキリしてるよね。でも、「事故」だけじゃなくて、いくつかの点も問題が多いのが寝不足の運転。単純に「判断が遅い」のが証明されている。
また、不機嫌になりやすい、というのは「なんとなく」理解してたけど、それをハッキリとデータとして出されると「うおおおお」と唸ってしまうよ。
そんな実験をやってるのも笑っちゃうんだけど、「睡眠不足チーム」はすぐに喧嘩になってたらしい。
睡眠が脳を掃除する
これも本当に興味深かった。無駄な「知識」を避けてくれる。寝ている間に。ホントにすげーぜ。必要とされる「覚えておくべき」事ばかりが脳に残って、後は避けてくれたりするんだよね。それはノンレムとレムの役割にも関わる話。
寝ることで気持ちの整理がつくのもそういうことだと思われ。
8時間寝ないとダメ
回復、ということでいえば、6時間睡眠は、8時間睡眠の1/3しか回復していないらしい。とにかく6時間以降の数時間というのが「とても大事」らしい。
よく有酸素運動は「20分動かした後こそが!」みたいな言い方するよね。あんな感じ。「2時間足りないだけ」なんて考え方はホント駄目です。それを初めて思い知らされた。
珈琲の影響
コーヒー呑むと眠れなくなるって話。このまことしやかに言われている事についても徹底してデータで立証。
なんと、コーヒーを呑んでから12時間経っても、体のカフェインは1/3しかなくなっていないらしい。
なので、昼のランチ時に呑んだコーヒーのカフェインが22時にベッドに入った時の「眠りの妨げ」になってるとな。
それから、俺は、コーヒーは午前中になるたけ飲むようにし始めた。
酒がお腹の赤ちゃんのレム睡眠を奪う
妊婦が酒を飲むと胎児の健康を損ねる事も証明された。
そもそも、「アルコール」は睡眠ということにおいては「百害あって一利なし」のようだ。こんなに酒が悪いものだったとは。そういうのも読めば解る。
「寝付きがいい」とか「寝酒」なんて概念は僕にもある。だが、それは大きな間違いで、まるで「質の悪い睡眠」をとってるだけらしい。惰眠。
睡眠不足が寿命を縮める。
これも細分化されて書かれてる。
睡眠が不足するとジャンクなものが食べたくなる
この項目も面白かったぁ。そりゃ体に悪いわな。
理想的な寝室の温度は18.3度
なぜだか解らないけど、読めば納得。へー。
夢は傷ついた心を癒やす
まるで「ほんとかよ?」と思われるけど、そうらしい。読んで頷く感動データ。
企業は睡眠を管理せよ
さきほどの引用部に話を戻すと、人は「睡眠不足」に対しての罪悪感が極端に低い。
寝だめが出来ると思ってる。これも、「寝だめは出来ない」「無意味」であることが立証されてる。この本の中で。もうねぇ、睡眠についての考え方を大きく変革させられた。今までどんだけテキトーに寝てたのか?ってぐらい。
寝不足の社員は、生産性が下がり、モチベーションが下がり、創造性が下がり、幸福度が下がり、怠惰になる。しかもそれだけでなく、倫理観まで下がるということがわかっている。
マシュー・ウォーカー「睡眠こそ最強の解決策である」
ビジネスにおいて、信頼や評判は会社の命運を決めると言っても過言ではないだろう。寝不足の社員は倫理観が下がっているために、会社の評判を下げることを平気でするという危険がある。私は以前、脳スキャンを使った実験で、睡眠不足の脳は理性と感情のコントロー
ルを司る前頭葉の活動が弱くなると証明したことがある。前頭葉の機能が落ちた人は、感情を抑えることができず、間違った判断を下しやすい。重要な意思決定が求められる職場でも、おそらくこれと同じ結果になるだろう。
実際の職場を対象にした研究によると、睡眠時間が6時間以下の従業員は、6時間以上寝た従業員に比べ、正しくない行動をとる傾向や、嘘をつく傾向が高くなる。
スマホのブルーライトが最悪
眠る前に見ちゃいけないものの代表格が「スマホ」だ。ブルーライトが最悪で。それも実験が行われている。データに裏打ち。
眠る前には「本」を読んだ方がいい。テレビも論外。その方が「美しく睡眠へといざなわれる」。
スポーツ面でも立証されちょる
運動選手は睡眠の大切さをよく解ってる。筋肉とか乳酸とかの関係で「睡眠」は本当に大事である、と浸透してる数少ない分野だ。
でも、肉体的な疲労回復だけが目的だけじゃない。本当に「成績」にも影響するのだ。
8時間以上の睡眠を取った場合のNBA選手のパフォーマンス
- プレー時間は12%上昇
- 1分あたりのポイントは29%上昇
- スリーポイントシュートの確率は2%上昇
- フリースローの確率は9%上昇
8時間未満の睡眠をとった場合のNBA選手のパフォーマンス
- ターンオーバーは37%増加
- ファール数は45%増加
こんな具合。細かくデータがあるので、納得せざるを得ない。
他にも、「脳が体内時計をリセットする」、「睡眠不足は先進国の流行病」、など痛いところを突かれた章立てがとても多く。暫く古本屋にはいかずに繰り返し読む事になる本です。そのぐらい面白い。免疫力の点。幸福度の点。ダイエットに必要。創造力。記憶力。等など。
それから8時間をなるたけ寝ようと努力するようになりました。とさ。
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