観て良かった。観られて良かった。「緑の牢獄」。深い闇。沖縄には闇が多い。
台湾の黄インイク監督
緑の牢獄、というタイトルは、西表島にかつてあった炭鉱の事。今でも、その廃坑はそのままで、緑に包まれイノシシが住む。
台湾から海を渡って出稼ぎに来ていた人と琉球人との交流。いじめ。差別。映画はその炭鉱の胴元を養父として育てられた10歳で台湾から西表島に渡った橋間良子さん(おばぁ)のインタビューを中心に綴られる。
モルヒネ
炭鉱では、金を使わず、自作の券で物品と交換していた。違法だね。炭鉱がなくなれば、その券は何の価値もない。
仕事がシンドイのでモルヒネを打つ。そうすれば、またすぐ元気になる。働ける。だが、すぐに切れる。打ち過ぎると、切れた時に手はガクガクと震えているだけ。
台湾に戻った炭坑夫も、モルヒネが台湾では認可されていないから入手できず、モルヒネほしさに数年後にまた西表島に舞い戻る。そして、そこで死んでいく。
再現とインタビュー
映画は、その炭坑の頃の話を再現ドラマとして挿入。胸を打つ。おばあの言葉とは別に、おばあの養父の1970年代のインタビュー素材も提供を受けた監督が挿話と扱って効果的に時代を描く。
キネカ大森でもうすぐ終映
慌てたのは、もうすぐ終わってしまうからだ。しかも東京だと今や、もはやキネカ大森でしか観られない。慌てていったさ。行ったら、いきなり入れなくて慌てたけどね(お前の母ちゃん宮川賢!!で話してますが)。
映像美
この映画の監督の描いたノンフィクション「緑の牢獄」も既刊。それも猛烈に面白そうだ。
だが、僕は、それを読むより映画を選んだ。西表島だからだ。映像美に浸りたい。案の定、マングローブの闇は美しく不気味で怖くもあった。
興味あるひとは是非。
おばあの隣に部屋を借りている「アメリカさん」と呼ばれるルイス青年。彼は失恋してここにとどまったが、数年後に西表島を後にする。このルイスが西表島の深い部分に知らず知らずのうちにハマっていくのだが。
価格:1,980円 |