緑山のぶひろ先生の漫画「罠ガール」が面白い。
専門分野の強さ
著者が田舎暮らしでリアルに野生動物との戦いを日々繰り返しているらしく、そのリアリティをや、ハンパなく。
それがとても面白いのよね。
映画「僕は猟師になった」も興味深いし、みたい映画だけど、その前にこれを読んでしまったので、こっちに夢中。それが「罠ガール」。
ブラックジャックは手塚治虫が医学に精通しているから、猛烈に面白かったワケで、「ナニワ金融道」にしても、「岳」にしても、「釣りキチ三平」にしても、作者が玄人はだしもしくはプロであることが作品の説得力を倍増させているよね。
これもそう。
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↑完全版が出たので、また改めて読み返したい感じ(買いそう)。
罠ガールと「僕は猟師になった」の違い
映画「僕は猟師になった」は、もともとNHKで放送されたドキュメンタリーを更に膨らませて深く掘り下げた映像作品。実在する「命を貰って命を繋ぐ」人の生活を描いたモノ。
漫画「罠ガール」と共通しているのは「罠を仕掛けて動物を仕留める」という点。
だけど、違うのは、映画「僕は猟師になった」は「食べる為に、イノシシを捕る」であり、罠ガールはハッキリ「農作物を野生動物から守る」が目的となっている。
「僕は猟師になった」は動物を殺すという行為を日々の営みとして行う一家を描き、複雑な気持ちにさせるが、そこに開き直り(と言う言葉さえ不適格な)の堂々とした姿勢があるので、意見を挟む余地を許さない。
対して漫画「罠ガール」は、女子高生が一所懸命に罠を勉強して農作物を守る為に戦う姿。つまり野生動物が「悪役」のポジション。
罠を仕掛ける場所
そして、実際に、自然に囲まれた地方では、死活問題。自然災害のような天候と違って、頑張れば食い止められる問題なので、リアルなサバイバルがそこにある。
罠を仕掛ける場所。
例えば、畑の近くに仕掛ければ、畑を目指してくる野生動物たちを引っかけやすいように思えるが、逆に、「食べ物の場所を広めてしまう」事にも繋がるので、被害も大きくなりやすい。ということは、頑張って、奥へ奥へと、獣道を進み、畑からなるたけ離れた場所で「仕掛けた」方がいい。
そのあたりの「読めばなるほど」だけど、「知らなきゃわかり得ない」話がふんだんに出てくるので、とても楽しい。
免許も頑張って取得する主人公
戦う相手は、沢山だ。カラス、猿、イノシシ……。
季節により、場所により、様々な困難が待ち受ける。そして、ホームセンターで売っている罠を購入したり、自分で工作したり。
申請すれば、「罠を仕掛ける事ができる」ようになるのは免許が必要だったり。そして、それを女子高生が頑張って取得する。その試験シーンも楽しい。へぇ、とな。
ドジっ子萌えシステム
僕が読んだ漫画で言うと「ゆるキャン」然りで、要は女子に学ばせれば、応援したくなっちゃう、というエロ親父の琴線パターンね。
頑張っているアイドルを応援して、人生の残りのエネルギーを他者に託す的な中年から老年親父が支える日本アイドル事情に相似してる。
つまり、僕もアイドル好き親父と何ら変わらないということか。漫画の世界の登場人物を応援したくなっちゃうってことかしら?
ばくおん!とか、何から何まで主人公を女子にすると応援しちゃうのが俺たちエロオヤジだ。えへん。
電柵は20センチ高
イノシシは毛が剛毛なので、電柵に触れても感電しない場合がある。感電しやすいのは当然「鼻」なので、その鼻の高さ「20センチ」に設置する必要があり、
それが高さが合わないと捕獲できない。撃退できない。釣りで言う所の棚を間違うと回遊魚まるで釣れないってのと近い。
そんな詳しい込み入ったことにも精通していく気分が面白い。こういうのを見ると漫画も面白いなぁと思う。
ヌタ場
そもそも、イノシシの足跡を見分けられるようになるのが大変だと思うし、そこから、獣道を見つけて、山奥に入っていくのも不安だよね。でも行く。
そして、イノシシとにらみあう機会があったりして、どう対処するかも学べる。ああ怖い。
そして、「ヌタ場」を理解する。
水たまりや小さい沼のような場所。そこにイノシシは体を浸して、ノミやシラミを洗い落とす。ヌタ場があると、近くにいる可能性が高く、罠を仕掛ける場所の候補になるらしい。
頭脳戦
猿と向き合うとなると、かなりの頭脳戦。
何しろ、ヒトのちょい前の生き物なので、狡賢いし、体も動く。どこからでも現れ、警戒心も強く、五感も鋭い。
何度も何度も失敗して、ようやく捕獲できた時の罠ガールの充足感は読者の我々もカタルシス。
案外カラスが頭良いってのが、見ていて滑稽。カラスにそこまでコテンコテンにやられちゃうんだぁってね。
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ブラックジャックは新人ナシ
物語を作る上で、その世界や状況の説明をする為に、新米を登場人物に配する事はよくやる。
その新人に説明する形を借りて、読者に説明できるからね。
新米デカを入れれば、その新米に古参の刑事たちの個性を紹介する形で、登場人物紹介ができるからね。ドラマとかでよくある。
「銜えたばこが似合う部長は、ああ見えてフェミニンなんだ。女性が被害者の事件で本気を出すと見境がなくなる」「へぇ、じゃあ私は女だから安心ですね」「バカ、ねむたい女にこそ、厳しいんだぞ、気をつけろい」「うひゃー」
みたいな具合ね。
ナニワ金融道も灰原が新人だったよね。「初心者が登場人物」というのは、進行がとても楽。だが、ブラックジャックはピノコがいるぐらいで、しかもピノコは「医療に興味がない」よね。
なのに医療の世界を描いてわかりやすい。色々手塚先生は凄いのね、と改めて思うよ。
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