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上野先生、フェミニズムについてゼロから教えて下さい!(上野千鶴子/田房永子)

僕も、ガツンと興味を強く持ったのは、東大祝辞の時の上野先生。

その選抜試験が公正なものであることをあなたたちは疑っておられないと思います。もし不公正であれば、怒りが湧くでしょう。が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。文科省が全国81の医科大・医学部の全数調査を実施したところ、女子学生の入りにくさ、すなわち女子学生の合格率に対する男子学生の合格率は平均1.2倍と出ました。問題の東医大は1.29、最高が順天堂大の1.67、上位には昭和大、日本大、慶応大などの私学が並んでいます。1.0よりも低い、すなわち女子学生の方が入りやすい大学には鳥取大、島根大、徳島大、弘前大などの地方国立大医学部が並んでいます。ちなみに東京大学理科3類は1.03、平均よりは低いですが1.0よりは高い、この数字をどう読み解けばよいでしょうか。統計は大事です、それをもとに考察が成り立つのですから。(続く)

東京大学ホームページ(平成31年度東京大学学部入学式祝辞)

これから始まる有名なスピーチです。そこから、僕は「彼女は頭が悪いから」を読み、ジェンダーについて考えるようになります。

7時間ぶっ通しで聞いてきました!

#metoo運動であったり、伊藤詩織サン事件であったり、数々の際立った勢いある動きにて、世界は大きく変わりました。僕も老親に「嫁に介護を当たり前のようにさせる時代は終わった」と伝えました。

先駆けとなった「その名を暴け」も爆発的な人気で、スカッとするルポルタージュの軌跡。女性二人が世界を変えた。

その一連の流れの中で、改めて「ゼロから」という視点で出たのがこの本。去年買って積ん読してた(汗)。だが、読むとあっという間でした。ああ、面白い。興味深いし、耳が痛いし、面白いし、二人の性格が痛快で!腰巻きの「7時間ぶっ通しで聞いてきました!」は伊達じゃない。

1500円プラス税。

妻は他人、娘は身内だから。娘は自分の分身なのよ。

夫の話ね。妻が会社で性差別に遭っても「そんなものだよ」と言うくせに、娘が就活で差別を受けると怒りまくるオッサンっているよね。という話。うわあああ。

おっさんたちにとって「女はどこかの男に属している付属品」だから、性被害はその付属品を傷つけられる、みたいなことなんだ。

うわあああ。あひーっ。

欲情するのは性器じゃなくて、大脳

数千年のヘテロセクシャリティの長い歴史が私にインプットされているからなのよ。男に欲情しやすいのよ。

うわああああ。その概念ビックリっ!だが納得っ!

異性愛セックスにまつわる退屈さって、歌舞伎と似てる。

うわあああ。

歌舞伎は大衆演劇だから、これでもかこれでもかって観客を泣かせようと迫ってくる。でもシナリオがあらかじめわかってるのよ。次はこうなって、その後はこうなってって。解ってても定石通りに泣けるの。オーガズムなんて、その程度のことじゃん。

うわあああ。

ヘテヘテのチズちゃん

段取りが解ってるとほんとに退屈する。ああ、やっぱりイッちゃったって。それに比べるとセクマイ(セクシャルマイノリティ)の人たちはチャレンジングだと思う。彼女たちから「ヘテヘテのチズちゃん(ヘテロ)」って呼ばれてた。彼女たちにも「ブッチ」とか「フェム」とかあるでしょ?「タチ」と「ネコ」。大雑把に言えば、男役と女役。

それが不思議で「なんでそんな役割分担するの?」って聞いたら、あるレズミアンの人が

性愛に異性愛しかモデルがなかったからよ

って言ったの。すっごい腑に落ちたわ。今はその役割分担がなくなってきて、ゲイもレズビアンもタチとネコの区別がなくなってるみたい。それぐらい進化してきてるってことでもあるよね。

あれはセクハラだと名付ける事だった。

上野先生は言う。「私たちフェミニストがやってきたのは、あれはセクハラだ、とかあれはDVだ、と名付ける事だった」

イギリス人の作家が「殺人百科」という本で、少年が大好きな少女をメッタ刺しにした事件を分析してる。「もし少年がセックスを知っていれば、彼は少女を殺さなかったかもしれない」って。「人と関係したい」「相手に踏み込みたい」っていう感情を、どういう手順で表現するか、そのためのツールがなかったから刺してしまったんじゃないかってこと。

だから、経験を表現する言葉のメニューは多ければ多い程いい。ドキドキしたり、自分がどうしようもなく惹き付けられたりしたら

この感情は、あの漫画で読んだ「恋愛」ってヤツだ!

と気づける。だから、それを「恋愛」と名付ける。

感情って「言語化」されないと「経験」にならないのよ。

私たちはフェラチオ世代

上野先生は言う。「私たちの世代はフェラチオ世代だと思うんです」

男に尽くす世代という意味。ハンバーガーにポテトがついてくるみたいな感じで、セックスにはフェラチオが入ってるんです。

だが、フェラチオとクンニはセットじゃない。

バブル世代はクンニ世代だと思うんですよ。バブルの人と話してると「なんでフェラチオなんてするの?」って驚かれたりします。

男が奉仕する時代だったからね。女の価値が高かったのよ。売り買いできる商品として女性性の価値が高かったの。

大和書房

本のタイトルに「ジェンダー」「フェミニズム」は使うな。

この書籍では、使ってるけれど、

読者に引かれる

売れない

が理由らしい。おおお。解るきがする。なので、敢えてタイトルに入れているこの二人の本。

カオとコネと自宅通勤

女子社員の採用基準の話。つまり、男性社員の花嫁候補でしかなかった昭和の女子社員。うわああああ。腰掛け社員という言葉。うわあああああ。怖いよねぇ。

男まさりの損

ウーマンリブの頃。男性と同じようにありたい!と思う女性が、男性がやりまくるフリーセックスをやってのけた女性も沢山いた。

しかし、それは上野先生によると「男性から重宝がられる公衆便所」でしかなかった。そして、中絶したり妊娠して出産したりと、割を食う事になった。それが最初の女性問題の挫折。

だが、今でも変わっていないのは、本の中でも指摘されているが、「女性の立場の弱さ」だ。曰く「男ボーナス」が男には今でもある。男に生まれて給料が高い。大学の入学しやすい。だが、女性だと妊娠して出産すると戻りづらい。給料安い。要職に就きづらい。怒ると嫌われる。男は怒っても嫌われない。

そもそも、セックスそのものが「平等」じゃない。妊娠は、男女のどちらがするか解らない。その時のセックス次第だ、というのであれば、もっと男はセックスに慎重になるかもしれない。ナマでやらせろとは言わないかもしれない。しかし、必ず、女性が妊娠をする、その時点で不平等だ。

産むとなれば、仕事を休まねばならない。となると、いつ休む(産む)とも解らない人よりは、絶対に産まない(休まない)男性に大きなプロジェクトを与えがち。神があたえたもうたシステムで女性は割を食っている。

ジーパンで性的主体性が出来た

上野先生の言葉。
ジーパンって今では当たり前のファッションでしょ。あの頃はズボンを履いて学校に行くと、「今日は何かあるの?」「デモに行くの?」って聞かれたのよ。女はスカートをはくのが当たり前で、ジーパン履いてきた女の子を教室に入れなかった教授がいたくらい。

うわああ。

ジーパンを履くようになってから性的主体性が出来たわ!って。
どゆこと?
「スカートだと手を突っ込まれて、なし崩しにセックスに持ち込まれるけど、ジーパンの場合、男が脱がせられないから、女が手伝ってやらないと出来ない。「ベルト外してるうちにふっと手が止まるようになった」って言うワケ。「ちゃんと選ぶようになった」。それを「性的主体性」って呼んだのよ。

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イヤなことにはいちいち目くじらを立てていっていい!
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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。