一過性全健忘の概要
一過性全健忘とは頭の外傷を原因とせずに、一時的に新たな記憶ができなくなる状態をいう。自分や家族の名前、職業、年齢などは覚えているが、今自分がどこにいて何をしているのかがわからなくなることが主な症状。発症している間は、自分がしていることを記憶することもできない。そのため、周囲に自分が何をしているのかをしつこく尋ね続けたことで一過性全健忘が発覚することも。通常24時間以内に症状から回復するが、回復後も発症中のことは思い出せないことがほとんど。再発することは少ないが、脳梗塞やてんかんなど他の重大な病気が隠れていることもあるので注意が必要。中年以降の男性が発症するケースが多い。
ドクターズ・ファイル
一過性全健忘の原因
一過性全健忘は海馬という大脳側頭葉にある記憶や学習能力に関わる脳器官の機能が一時的にショートしたことで発症すると考えられているが、詳しいメカニズムはわかっていない。アルコールの過剰摂取や特定の薬・鎮静薬の服用、違法薬物の使用、精神的・肉体的なストレス、急な感情の高まり、性交渉などをきっかけに一過性全健忘を発症することがある。脳細胞の異常な活動のために、けいれんや失神などの発作を来す神経疾患「てんかん」や、血液量が少なくなったり血管が詰まったりすることで十分な血液が流れなくなってしまう「脳虚血」、頭の一部がずきんずきんと激しく痛む「片頭痛」、血液内の酸素量が少ない状態になる「低酸素症」などの病気によって引き起こされることも。
症状と治療、予防と治療後の注意点は、これまた次頁に。
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