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電力の小売り自由化であろうとも、やはり大手十社を脅かす事にはならない理由が少しずつ解ってきた。

僕の家も東京ガスに電力を変えました。家族の知人が東京ガスで。勧められて。ちゃんと勉強してからにしようと思っていたけど、とりあえずまぁいいか、と。それそのものに後悔はしていないけれども、

寄らば大樹の陰?

日本経済新聞にこういう記事があるんですね。

新電力、「寄らば大樹」鮮明 卸市場急拡大でも青息吐息
大規模な発電設備を持たない「新電力」などが電力を調達する卸売市場の拡大ペースが加速している。2018年12月には市場を通じた販売量が初めて電力取引全体の3割に達した。市場から買った電力を顧客に売る新電力には朗報のはずだが、歓迎する声はあまり聞こえてこない。むしろ目立つのは、市場から離れようとする動きだ。

まぁ、どういうことかこれだけだとよくわからない記事。

はて。ORSで作ってるネットコンテンツ「佐藤満春のエネルギー芸人への道」のテーマとして出演者の目﨑さんに提案されたがまるで解らなかった。だけど、目﨑さんに会って話を聞くと色々見えて来る。ほほお。そういうことなのか、と。

結局大手が牛耳る仕組み

電力自由化は、高圧から始まり、低圧も。つまり完全自由化になった。家庭用の電気の小売りも自由化。わーい、これで東電以外の電力会社の電気を使う事が出来るんだね?と思いきや、そうでなない。世の中には3.11以降、東電の電力を使って生活を営みたくないという人がとても多い。それはとてもよく解る。気分的な問題なんだよね。勿論放送では言えないけどね。

このニュースについての僕の理解はこうだ。
ほぼ目﨑さんに教わった事だけど。

電力自由化により、小売りだけで参入する事が出来るようになって、わーいと色んな企業が加わった。だけど、消費者とは固定価格で契約するよね。で、大手十社(東電とか北電とか)よりも安くしないと意味がないよね。で安くする。だけど、市場に出ている電力なので、時価だよね。ということは、江戸前寿司のマグロと同じで高いときは高いし、安い時は安い。そのリスクを背負って臨むのが電力の小売業のようだ。

だけど、人が最も電力を使う時の電気を「高くしてしまえば」安定供給が最低条件なので(北海道の停電とかは論外)、新電力(電力自由化で参入した小売りの会社総称)は高かろうが買うしかないわけだよね。安定供給出来なくなっちゃうからね。となると、この時期や時間帯については赤字になるよね。つまり、マグロがほっとんど獲れなかった時期の江戸前の寿司屋は「意地」でマグロを出していた、あの感じと同じね。マグロを出せば出すほど赤字になる。だが、寿司屋は「マグロないんです」とは口が裂けても言えない。気骨で「へい、赤身ねっ」と注文を受けた。そんな話を過去に調べて知った。それと同じ感じ。

一時的に高い時期の電気であろうと買わざるを得ない。しかし、高い時の電気だからといって、「この時期高かったんで、電気料金、この日の消費電力に合わせて少し割り増しさせてね」とは言えない。当たり前だ。

それが続くと当然赤字が続くし、安定供給の為に安定経営が出来なくなる。で、「寄らば大樹の陰」となる、というニュースらしい。

なぜ寄らば大樹の陰?

どうして寄らば大樹の陰なのか?

赤字が続くとやってられないので撤収しちゃう。やめちゃう。やってらんねーよってね。そりゃそうだ。で、結局、大手十社の傘下に収まる。とほほ。資本入れて助けてやっから、取締役入れろよ、であったり、完全子会社にしちゃったりとまぁ、そういった事だ。

つまり、ここまでが「自由化」によって描かれていたストーリーだったって事ね。

電力自由化は大義名分であって、一旦3.11で東電アレルギーになっている人たちの溜飲を下げる。しかし、結局は東電の電力を使ってる。勿論、傘下に入らなくても東電の電力を使ってるのは変わらないんだけど、それにしても、その会社そのものが東電の傘下になっちゃってたりするってことさ。アップル信者が、DOS/Vになったのに、やっぱマックでしょって言ってた人の虚しさと似てるね。アップルとIBMの提携はジョブスのそれまでの考えとは正反対だったからね。

自由化によって、溜飲を下げておいて、その実、結局は大手十社の子会社たちから買ってるだけ、という仕組み。ありゃりゃ、残念。自由化は夢があると思いきやそうではなかったようね。そりゃそうだよね。

そもそも、市場に出ている電気をどうして「人が沢山電気を必要としている時期だけ高値にすることが出来るのか?」という「それじゃあ自由化じゃねぇじゃんかよ!」という問題があるよね。それも、結局、大手電力会社が「ごめん、この時期、ちょっとメンテナンスで出力下げるねぇ」と言えばそれで「供給量が下がるんだから高くなっちゃう」のは仕方ない。そんな感じ。つまり、大手の胸先三寸でどうとでもなるってワケだ。

で、困った会社に

「しょうがねぇなぁ、じゃあ、君らに安定供給してやっから、子会社にならないかい?」

と迫る。それはもはや自由化という名の独占寡占。きゃーっ。

じゃあ大手が悪いのか?

そいうことは、弱いモノ虐めをする大手が悪いのかというとそうではない。これも弱肉強食のビジネスの世界。大手は大手で、生き残りをかけてるし社員を喰わしていかないとならん。悪いとか良いとかの問題じゃなくてね。法人としては利益を出すのを考えるのは当然のことだね。

それにしてもヒドイんじゃね?

と思う人も多いよね。まぁ、そうだけど、大手は大手の理由も多少はある。
電力のコストは電気事業法という法律に基づいて「総括原価方式」で計算されてるのね。これは、発電、送電、電力販売費、人件費、すべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決める、というやりかたなのね。これによって電力を決めないとならない、というのが法律で定められちゃってるワケよ。

だけど、大手以外は、自由に価格を決められるから、安く設定出来る。そのアドバンテージを如何に利益に結びつけられるかが新電力に求められた戦いなのだけど、新電力の中でも「東京ガス」であったりと大手でないと、対等には戦えない。企業としての基礎体力がないとね。

つまり、ホンの少し大手は大手で大変なんだよ、という見方をするならば、総括原価方式で決めざるを得ないのだから、そういったビジネス戦略ぐらいはやらせてよ!って話さ。

勿論、人件費とかファジーな費用を乗せて設定出来、尚且つ敵がいなかったこれまでの「やりたい放題」の稼ぎっぷりは、3.11で詳らかになったから、急に不愉快に感じた人も多かった事でしょう。

まぁ、でも国に守られている会社はなんだかんだ強いってことね。

まとめ

明治20~30年は、電力会社は乱立し完全な自由競争だったのだけど、そっから国営になり、第二次世界大戦があって、GHQも同意して民営化となり、それを9に分けて「地域独占」まではしょーがねーか、ってことになった。そっから本当に長かった独占事業。だからこそ、それを知ればこそメルトダウンは残念だし「許せない!」と思う人も多いって事だぁね。

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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。