大阪府の吉村洋文知事は5日の記者会見で、新型コロナウイルス対策で「ポビドンヨード」成分を含むうがい薬の使用を呼び掛けた結果、全国で品切れが相次いだことについて「予防効果があるということは一切ないし、そういうことも言ってない」と釈明した。
ヤフーニュース
さて。一日で、売り切れ続出となった「うがい薬」。我利我利亡者の集団と化した我が国で、溺れかかってると藁をもつかむのね、と。
ポビドンヨードとは?
では、まずポビドンヨードとは何か。
ポビドンヨード(Povidone-iodine)は、ヨウ素の酸化作用を利用した抗微生物成分です。
(明治うがい薬のページ)
ヨウ素のアルコール溶液であるヨードチンキなどでは人体への刺激が強かったため、ポリビニルピロリドンとの錯化合物として合成されたポビドンヨードが現在では広く普及しています。
また、ポビドンヨードの独特な茶色は消毒作用の活性を示しています。手洗いとして使用した場合、消毒範囲も目で見てわかるので、安心です。
と言うこと。
こうなると、これまでの人生で、うがい薬と吸入器をまるで桃太郎の犬猿キジのように付き合ってきた僕が語らないワケにはいくまい。
うがい薬にはヨード系とアズレン系
うがい薬には、私見だが、ヨード系とアズレン系が双璧で、他の追随を許さない。
ヨード系
件のヨード系は、ご存知、というか今回市民権を得つつある「ポビドンヨード」を含む「イソジン」のあの色のうがい薬だ。
デリヘル嬢を出張先のホテルで呼んだ事のある男性なら「はいっ」って渡された事があるだろう。シャワー浴びながら、渡されて
「下にぺってやっていいですよ」
って言われた人もいるかもしれませんし、デリヘル嬢とシャワー浴びながらなので、
「あたし、生理じゃないよ。えへへ」
等と面白くもない事を言われて
「今更チェンジできねぇしなぁ」
と思った事がある人がいるかもしれない。要はあの血のような色のイソジン独特の匂いの「アレ」だ。
これの特長は、「殺菌力」の高さにある。
その代わり「粘膜をそぎ落とす」特長がある。
その為、
プロのボイスユーザーは注意が必要だ
何故か。そう、声が掠れてしまいがちなのだ。とりわけ喉が弱い人、演劇の稽古などで、ガッツリ声を痛めている人は、より「掠れ声」になってしまう。
アズレン系
それに対して、アズレン系は、「青い」液体が多い。
で、商品名にも「AZ」とか「アズ」とか「アズレン」などを含むものが多く、梱包されているものも「青」が基調となっている。液体が青いからね。
このアズレン系の特長は、「喉の粘膜の分泌を促す」作用があり、「殺菌力はまぁまぁ」。
なので、声を使う人はこっちを使う人が多い。なぜなら、声を仕事にする人は、傷めようが体調悪かろうが「出さねばならない」のだからね。
風邪を予防しながら、粘膜の分泌も促す事が出来るのは、このアズレン系でいい。
では、なぜヨード系があるのか? そんなおっかないもの、要らないじゃないか?と思うかもしれないが、殺菌力がホント強いので、インフルエンザの時は大活躍。
加えて、声を仕事にしていない人は、こっちのヨード系1択。
新型コロナを予防出来るワケではない
大阪府の言う通り、新型コロナウイルスを治せるワケでもないし、予防出来るワケでもない。
ただ、口の中にある新型コロナウイルスを増殖させないという効果は認められているようだ、というだけの話。
これまた色々な問題がある。確かに「人に感染させなくなる」という効果はあるだろう。
しかし、PCR検査をすり抜ける危険もある
そう。口の中で増殖しないのだから、重病化を防げるであったり、老人にとってはいいんじゃね?みたいなことはあるだろう。しかし、それにより、
なんかダルイなぁ。微熱だなぁ。PCR検査うけたい
となったとする。医者が紹介状出してくれたとする。だが、口の中でウィルスが減ってるので、陽気に
「陰性ですね!」
と言われてしまうかも知れない。というリスクね。
だから、うがいすりゃあいってもんじゃないし、予防になるわけでもない。ましてや治るワケでもない。ちゃんと理解する必要がある。
大阪府知事は好きだけど
何しろ吉村府知事は叩かれるのを解った上で、バンバンと色々な事を出してくる。とてもいい。またぞろワイドショーでバンバン叩かれたり、「余計な事言うな」とか「流通を確保してから言えよ」とか言われちゃってるけど、そんなのお構いなしに「ハッキリした」んだから、言うぜ!というスタンスが潔くて気持ちいい。映画「カッコーの巣の上で」のジャック・ニコルソン演じるマクマーフィの名台詞、
「少なくとも、俺はやってみたぜ」
に通じる素敵。ちなみに、どういう時にマクマーフィがこの台詞を言ったかは、実際に映画を観てみて下され。
なので、府知事は好きな人です。とてもいい。ハッキリしてるし、何が大切かを理解して動いている。利権に縛られつまらない大人の事情を理解しちゃったりしてないから、正論と理想論でバシバシ道を切り開く。
だから、これからも支持するけど、このうがい薬に関しては、色々難しい部分もある。
風邪を引きやすくなるというデータ
水でうがいをした人と、ヨード系でうがいをした人と比べたら、ヨード系でうがいをした人の方が風邪をひいた、というデータがある。
理由はどうやら、うがい薬で「殺菌した」事により、口の中の常態菌をもやっつけてしまい、抵抗力が下がったのではないか?というのだ。ふえー。なんだかなぁ。
なので、まぁ、そういった事を理解した上で使えばいいと思う。
また、「買ってはいけない」の代表格として描かれていたうがい薬なので、それを長期間使い続けると甲状腺機能に影響があるのではないか?とも心配されている(データなし)。
舌の回りで増殖する
なので、府知事が言う「舌の回りで増殖する」のが解っているというのであれば、確かに「増やすのを防ぐ」事は出来るだろう。しかし、ウィルスが不在なら、必要はない。
まとめると
まとめるとこんな事のようだ。あくまで私見です。
- 新型コロナウイルスは口の中でとりわけ舌の回りで増殖するらしい
- ヨード系のうがい薬なら、新型コロナウイルスの増殖を防げるらしい
- だが、それにより常在菌を滅して仕舞うリスクもありそうだ
要は、マスクだけじゃなく
「ちゃんとうがいする習慣もつけようぜ」
って事であり、どうせならヨード系のうがい薬を使うのがいいぜ!って事のようですな。
ちなみに僕は、本当に喉のケアを丁寧にやっていた時期は(酷使していた頃)、
- ヨード系
- アズレン系
の両方を常に持ち歩き、まずは、ヨード系で殺菌をちゃんとして、それからアズレン系で「喉の粘膜の分泌を促し」ていた。寝る前とかね。ダブルですな。
ただ、正直な事を言うと、汗冷えしなければ、演劇の稽古でも、体調を崩してきたなぁと思うまでは、「アズレン系」だけで充分だったけどね。うがいオタクなので、ダブルのボトルキープしてたけど(笑止)。
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ちなみに、僕は若い頃からうがいをする習慣があるので(というか、19歳頃から「イソジン」などのうがい薬を「マイボトル」として持ち歩いていた)、女性とセックスした直後にうがいをして
「私ってそんなに汚いのっ?!」
とキレられた事があります。なむー。
ちなみに、演劇人の仲間からよく問われたので、声のケアについて(当記事内容含む)まとめたのはこちらです。