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声が掠れてしまった/声帯が腫れた/声が出なくなった/時の為にすべきこと(まとめ)

何度となく共演した役者から「あの時、宮川さんが言ってた薬ってなんでしたっけ?」とか連絡貰うので、一度まとめて書いておきます。
いや、連絡貰うのがうっとうしいワケではないんですよ。これ、知らない人が沢山いるみたいだから、同じ轍を踏まないように、と。僕がこれまでした無駄な苦労は繰り返さないでいいように。ね。

ヨード系、アズレン系

まず、うがい薬。これ、間違いがち。大きく分けて(って俺が勝手に分けてる)ヨード系とアズレン系がある。


ヨード系

ヨード系は、お馴染み「イソジン」とか。あの色のあの薬ですよ。消毒液臭いあれね。
イソジン以外にも同様の味と色味のもの全般をヨード系と僕は読んでいる。

これの特長は、「殺菌力」が強い。なので、体が弱っていて、既に風邪を引いているっぽくて、なのに仕事で日々奔走せねばならず、人と会って新たな風邪を貰っちゃわないように気をつけたい人にはいい。なぜなら、風邪で弱っている所にもっと強いウィルスとか伝染されちゃって、ヒドイ風邪をこじらせてしまうなんてことはよくあるからね。

だが、ご存知な人も多いように、インフルエンザウィルスは喉に吸着してから20分で体内に取り込まれちゃうので、インフル予防は20分間隔でうがいしないと無意味とも言える。勿論、保菌しても発症しない人もいるので、体力がある人なら問題ないだろうけど。ただ、他の雑菌とかインフル以外のウィルスを体内に取り込まないように「うがい」で殺すってのは圧倒的に強い。それがヨード系。

だが、問題がある。声を使う人は注意が必要。殺菌力が強い為に、喉の粘膜をこそげ落とす。剥ぐんだな。つまり、声を使う職業の人には向いてない。声がかすれやすくなる。声が痛んできたからヨード系のうがいをガンガンして余計に声が掠れるということはままある。知らないとこういう事になっちゃう。要注意。

アズレン系

これは、逆に、「殺菌力」が弱い代わりに、「粘膜の分泌を促す」効果があるので、声を仕事にしている人はこっちの方がいい。とりわけ、休めない仕事に囲まれているプロのボイスユーザーはこっちを頻繁に使うがよろし。

僕は風邪の時期でも、アズレン系とヨード系の二つのうがい薬を使っていて、寝る前に一度だけヨード系を使う、とか、ヨード系でうがいした後に、粘膜の分泌を促す為にアズレン系でうがいをしてから仕事に向かう等をしていた。二種類使うみたいなね。これはもうオタクレベルなのでそれほどオススメはしないけど。持ち歩くのは、勿論アズレン系がいい。絶対。

スプレーも

うがい薬に限らず、喉にシュッと噴霧するスプレーも「アズレン系」がいい。ヨード系は喉を痛めている時だとよくない。

でね、これらは薬屋さんに行けば「ヨード系」下さいとか「アズレン系」下さい、とか言えばまず伝わる。絶対に伝わる。相手が薬剤師である限りは。

そして、薬剤師に見て貰わなくても、見れば大体解るのでそのポイントをお教えしよう。って威張る程のことじゃなく。

アズレン系は、「AZ」とか「アズ~」とか名前になんとなくアズレン系であることが解るようになってる。新製品もきっとそうだろう。で、色が「青い」液体。なのでなんとなく青いパッケージが多い。

で、ヨード系は「色」を見れば解る。あの色だったらヨード系。焦げ茶色のパッケージとかは概ねヨード系だと思う。

アストリンゴゾールもね

あと、他にもアストリンゴゾールとか色々ある。これは扁桃炎に効くとか言って使ってる人がいるけど、よくわからない。口内洗浄のイメージが強い。何度も使ってるけど、掠れ声には「アズレン系」一択。でいいかと。

漢方薬

漢方薬は、正直舐めてたけど、本当に頼りになるので、最近は常備している。その中でも、オススメをいくつか。

麦門冬湯

喉に潤いをもたらせる麦門冬湯(ばくもんどうとう)。これは本当に重宝している。咳がでなくなる。声って使いすぎると咳に繋がる場合があるでしょ。気管支炎の手前にこれを飲んでいると随分と助けられる。ただ、これは、ガッツリ風邪をひいた後だと効果を感じづらいので、既に症状が出ている人には向いてない。

てか、そもそも、症状にハッキリ出ている人は、その時点でアウトでしょ。僕も何度もアウト食らってるけど、そうなる前に、その前兆に気付いてなんとか対処するのが必要なことなのでね。まぁたばこ吸ってる人とかだと喉の異変に気付きづらく、気付けば腫れてる!なんて事にもなっちゃうかもしれないけど。

芝居の稽古と毎日のラジオをずーっと続けていた時は麦門冬湯飲んでました。処方してもらって。一日三回。随分助けられた。大声出しても掠れなくなってね。

響声破笛丸

これも有名な漢方薬。だけど、これも、ある程度、声が出づらくなってから飲む「非常事態宣言」後のもの。でも、効果あるよねぇ。
僕が、声がカッスカスになってしまった状態で、ラジオの生放送をやらねばならない時に、これを水筒に入れて、喋る度に少しずつ喉に通過させると、それだけで瑞々しい濡れた声が出るようになっていた。本当に助かった。急場では頼りになるヤツ。でも、だからといって、芝居の場合は持ち歩けないからどうしようもないかもしれないけれど。


甘草湯

これも漢方薬。咳、咽頭痛。声がれ。の時に飲む。僕はなんか痛いなぁと思ったら飲んでる。

半夏厚朴湯

これも喉の薬なんだけど、ストレスによる「声の異変」に対応しているイメージが強い。あとつっかえた感じ。喉に何か入ってつっかえてる感じの時に飲む。自分はあんまないけど、不安でストレスフルな稽古の時にはこれも飲む。でも、これのお陰で治ったぁ~!って記憶はないので、僕の場合は気休めです。でも、色んな喉の医者行くとわりかし処方されるので書いておきます。
……他にも、色々あるけど、気休めで買うのはアリだけど、有事の際はもう手遅れなので、漢方よりは抗生物質の方がいいと思う。つまり腫れちゃってどうしようもない状態だと東洋医学ではなく西洋医学に。

吸入器

それと吸入器もこれまで20個ぐらい買いました。これも本当に助かる。気持ち良いよね。物理的に喉を潤わせるので、麦門冬湯と一緒に使うと効果感じやすい。冬は加湿器も大事だけど、マスクも大事だけど、これやると「自分が如何に声が掠れているか、乾燥しているか」を気づけるよ。

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最後に行き着いたのはこれ。A&Zの超音波のね。

何度も、超音波はダメだとか色々三十年に渡り試してみたけど、結局これになった。その理由は次の通り。

沸騰させる湯気が出るタイプのものは、湯気なので、喉の奥までガンガン「入り込んできてくれる」という利点を良いと思っていたが、よくよく考えて見ると、湿気が強いので、やってる最中に「咳き込む」事がよくある。咳をするのは「最悪」なので、辞めた方がいいよね、という結論。咳はしちゃだめ。治療してる時でもしちゃだめ。いいこと一つもない。

で、超音波は、細かいのがいいのだけれど、当初は、「奥へ入ってきてくれない」「吸い込まないとならない」のでいまいちかなぁと思っていた。のだけれど、最近のは、それの噴霧量が多くて、とりわけこのA&Zのヤツは無理に吸い込もうとしなくても自然と奥まで入ってくる。湯気のような強引さはないので、咳き込まない。

その他

他にもあれがいいとかあの飴がいいとか、色々ある。

言われている事で「効果がある」と感じた事をいくつかあげると、
大根の汁は消炎作用が本当にあるっぽい。さいの目に切った大根を水飴に浸して、冷蔵庫に入れておく。この大根汁をホンの少し、毎朝喉をゆっくり通過させるように飲む。これだけで喉がケアされるかんじ。

水飴も消炎作用が言われてる。あと蜂蜜も。飴も要はそういう感じ。役者で「飴」にやたら詳しくて、あの飴はダメだ、この飴はいいとか言ってる人がいるけど、

正直言うと飴のようなものはあんまオススメしない。それにより唾液の分泌を促す、という補助効果は得られるにせよ、それにより喉が荒れるから舐めすぎとか、意味わかんないっしょ。
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結論

で、まぁ、ハラホロヒレハレなことを言うようで恐縮だけど、声の調子が悪い時は、「プラス」で何かをするということではなく、「マイナス」で考えた方がいい。

つまり、この薬を飲もうとか、このボイスセンターの予約を取ろうとか、何かを「する」方向で動きたくなるけど、その方が「治そうと努力している」実感が持てるのは解るけど、喉にはよくない。

喉が痛んだということは、それだけ体が弱っているからであって、音声酷使だけが理由とも限らない。寝不足である、ストレスがある、寒い思いをしたので風邪気味である、空気が悪い所で声を出し続けていた、等。

とりわけ演劇の稽古で声を潰す人は、疲れてる。演出家で役者の声の管理までしてくれる人は少ない。例えば「悲鳴」を一度稽古場で放ったら、そのシーンの稽古は数回繰り返したら限界だ。役者の声ってそういうもの。それを「もっとこうしろ」とか注文つけて、何度も何度も小返しで稽古するような演出家の言う事は聴いてはいけない。すぐさまその現場を離れよう。役者をやったことがある演出家だと意外と解る人がいるけど、それでも少ない。経験上。

上手い役者は、そういった根性論が持ち前の阿呆演出にぶち当たった時に、わざと掠れたフリをして「あ、掠れてきた? じゃあ、今日はこのシーンはここまでにしよう」と言わせる。阿呆の扱いに慣れてる役者はそうやって自分の声を守る。だって、最終的に声が出なければ、その阿呆も困るワケだからね。

よく寝る

睡眠をよくとる。これが絶対に必要。加湿器を焚いて、マスクをして、うがいをしてよく寝る。
当たり前だけど、刺激物は避ける。タバコ論外。酒あり得ない。お喋りも禁忌。辛いもの、コーヒーダメ。食事したら即時うがいをする(当然AZ系)。飲み会なんか行っちゃ駄目。

何しろ、休む。体を休める。そして抵抗力を引き上げて、喉の回復を助くる。

こういう考え方がいいと思うよ。声が掠れたのは、「風邪をひいたのだ」と。体が弱っているから、ウィルス性の風邪ではなく、細菌性の風邪をひいてしまった。その症状が最も先に現れるのが「いつもつかっている部位」であり、役者の場合は「声」ってこと。つまり「声がれ」ではなく「風邪」なんだと。思おう。体力を戻さないと、

どんな飴舐めたって、
どんな吸入器何度もやったって、
無駄。無意味。その分、長く眠った方がいい。

ある程度経験すると、この声の痛みは「こんぐらいの期間かからないと治らないなあ」とかが解ってくる。そうすれば、その時期を悠長に待てる。それが慣れない頃は「ああっ!今日も枯れてるっ!」とストレスを感じてもっと何かをやろうとして疲れてしまう。もっと悪くなってしまう。これ声枯れアルアルです。

たばこを吸ってる人や、若い人は「自分がどれだけ弱っているのか」少しの変化に気付きづらい。だけど、それを気付けるようになると、上記の漢方薬で完璧な状態を永遠に保てる。
自分の濡れた声が自由に出せる状態ってのがピークの体調だとすると、100%の状態から90%の状態の範囲内で仕事をし続けられるようになる。

65%ぐらいまで落ちてるのにそれに気付けない人は、腫れたりする。だが腫れ始めた時には体が弱ってるから、そのまま一気に10%状態に落ちてしまう。そうならないように気をつけよう。というのが鉄則。

だが、この「自分の若干の変化」に気付けないのが人間で。僕も何度も経験しているにも関わらず、稽古の調子や流れで「自分の体を客観的に見る事が出来ずに」そう陥ってしまう事がある。何度もある。本当に悔しい。

風呂問題

あと難しいのが風呂ね。入るべきか、入らない方がいいのか。これは経験則。ここまで腫れたら、絶対に入っちゃ駄目だ!俺の体はっ!と気づければいい。解らないと、入った事で疲れが増して炎症が広がって逆効果ってこともある。入る事でぐっすり眠れて風邪を治すにはとてもいい!ということもある。体力がどの程度かによるかな。俺は湯船入る前に、「ああ、なんか入りたくないなぁ」とか「なんとなく寒気するなぁ」と思ったら、烏の行水に切り替えてすぐ出る。そして暖かい飲み物飲んですぐ寝る。何度も助けられた。





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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。