井上尚弥とノリト・ドネアが平和に役立つ時

凄い試合でしたね。

判定で井上尚弥

感動しました。ハラハラもしたし、もの凄いドラマツルギーでしたね。こういう試合こそ、人は見るべきだし、見て良かったと思うボクシングでした。

僕は、詳しくないけど、去年からずーっとこの試合を楽しみにしていました。8月の真夏も、「ああ、もうすぐ11月になる。11月になれば、尚弥とドネアが。うあああ」とワクワクドキドキしていたものです。

結果は、12Rで決着着かず、判定3:0で井上。中には僅差の判定者もいた。そのぐらいいい戦いだったと。

序盤はドネア

1Rからガンガン行くと思っていた我々俄尚弥ファンは、少し戸惑うスタート。

様子を見る二人。見ながらも、堂々と手を出していく尚弥。自信に満ちあふれている。

だが、そこにドネアの左がキマって、カットする井上。そこから井上が「なんとなく」鈍る。

完全に精神的なもの。

精神の安寧を損なうものを排除するべき教え

大事な仕事をしている時は、精神的に落ち着いていないとならない。

演劇をやっていると、本番が近づくと「自分は天才!」と思い込む作業に終始する。怖いから。不安だから。何も不安に感じるべきことはないのに。それがなんだろう。本番ってやつなのかな。それをテキトーに「なんとかなるべさっ」と思えないのは「自分の手打ち公演」だからだ。人の公演にお邪魔している場合は、完全なる無責任な立場なので、頑張れるし楽しめる。ちゃんとやることをやっていればいいのでね。

だが、手打ちは違う。それがアトリエ公演であってもね。例えば、恋愛でゴチャゴチャしていたとする。それは芝居に影響するので、共演者を不安にさせる。そうならないように気をつける事が出来る人が舞台に立っている。

ということからも、舞台女優が如何にサバサバしている人が多いかが理解出来る。

「また稽古かよっ!」

と彼氏に言われてもそーだよ、と平気で答えられないとならない。そこで「ごめんねー、ダーリン。ほんとにごめんねー。嫌いになったぁ?」なんて人はなかなか難しい。そんな女子たちばかりだから(これ偏見だな)、そのサバサバ感を舞台にこぼれでないように演出する。女々しい「所謂男好き」するタイプに仕上げる為に頑張る時も多い。

さておき。

井上尚弥は、確実に「焦った」ようす。勿論、あれだけのモンスターなので(ホントにもんすたーだった)、キョドってはいない。しかし、なんだか様子がおかしい。

ガードを丁寧にするのもあるだろう。だって、次にカットして、血が止まらなくなったら負けちゃうからね。それだけは避けたい。

で、ガードをする。

だけど、そもそも、カットしたことがないのが尚弥だから、なんかヘン。不自由に見える。仕方ないけど。

そこで、日本中が「ああ、これ、もしかしたら、こういうアクシデントから井上が崩れていき、攻略されてしまうのか?」と不安と寒気を感じたのではないだろうか。

でも、モンスターだった

それでも勝っちゃうのが尚弥。

なんと、ダウンを取る。右アッパーからの左ボディ。ドネアたまらずダウン。これは、序盤にカットさせられた尚弥が「ドネアってこんなにすげーんだ」って感じたのと同じような形で「ああ、尚弥ってこんなにスゲーのか」と感じたに違いない。

解ってたのに、食らっちゃった。アッパーの後のボディは来るって解ってるのに食らっちゃったよぉ。トホホ。しかし、実際に食らうとやっぱスゲーな。という。

終始圧倒

その後は終始圧倒。仕留められそうで仕留められなかったのは、やはりドネアの左カウンターが怖かったからであり、それを「ハッキリと狙っているのが解った」からだ。
それでも、スピードでは「完全に」勝っていた井上尚弥が攻め続け、相手にいいところを見せるチャンスを(それほど)与えず、12ラウンドが終えた。

勝者の抱擁

そして、勝者の中の勝者同士が抱擁した。あの二人の破顔一笑を見て、素敵な気持ちにならないボクシングファンはいないだろう。この1年間どれだけシンドイ思いをしてきたのだろうか。どれだけキツイ練習をしてきたのだろうか? 

ドネアは「井上圧倒的有利」の下馬評を受けて、それを力に変えて、よこぞ、ここまで完璧な状態に戻して(しかも、階級戻して)、尚且つ攻略作戦も完璧に立てて臨んできた。

その点で言えば、試合では勝ったけど、自分との戦いに勝ったのはドネアだと思う。

ドネアのモティベーション

ドネアの立場になれば解るよね。これ以上、何が欲しいのか? 欲しいタイトルは全て手に入れた。もう戦う必要ないじゃんか。

なのに、戦って、それで「勝ちたい」と思える相手がいる幸せ。それは凄い。勿論、「井上尚弥」だからこそ、燃えたのであって、

そういうきっかけが無ければ、なーんとなくの試合をして、なーんとなくの負け方をして、まーいっかー、みたいに引退する有り体の末路となるだろう。そういうボクサーも多いよね。

だけど、違った。ここまで上り詰めた男に「井上と戦う」というボクシングの神様からのプレゼントを貰ったのだ。それほど井上は凄いモティベーションになったのだろう。

井上のモティベーション

それに比べて上り調子の尚弥は「当然」モティベーションがある。ノッてる。そして、頂点の中の頂点ドネアを倒すチャンスを得た。こんなにモティベーションが上がる事はないだろう。

そうやって思うと、

ドネアと井上のモティベーションを比べると、ドネアの方がモティベーションをあげるのが大変だったと思う。だが、完全にドネアは「王者に相応しい」ボクシングを展開して世界中を納得させた。
ドネア恐るべし。

そして、それをモティベーションの差とか勢いとかではなく、真正面から受け止めてしっかり「勝った」のが井上尚弥だった。

尚弥おめでとう

井上は、途中、1分休憩の間に、足をパンパンと叩いていた。「なんかヘンだぞ」と感じていたのだろう。アシが動かないぞ。と。

そう、解説の人も言ってたけど、「ここまで長丁場はやっていない」のが尚弥だ。大抵TKOでスタスタ勝ってた。長い時でも6Rぐらい。中盤だね。

うげげ。この試合長引くかも、そう思ってから足が出なくなったのか、フットワークが軽くない自分を感じていたヒトコマを見た。鼻血が出ていたから呼吸が出来なかったのか。集中出来なかったのか。キズを気にしていたから焦りがあったのか。

そんな、ハッキリと「自分の中の敵」と戦いながらも、最終的にはそれをもやっつけ、そして、目の前の頂点の男も倒して見せた。

尚弥はこの試合で見た事のない景色を見られると言っていた。試合に勝った事で見られる世界はどういうものか。それは井上尚弥しかしらない眺望だろう。
でも、こんなに苦労して勝った試合を経験したことで、更なる景色も見られる可能性が強まった。
井上尚弥はまだまだ進化するのかなぁ。それとも、モティベーションが下がって、なんとなく巨乳アイドルとセックスとかしちゃって、しょーもない事になるのかなぁとか色々考えると不安になる部分もあるけど、あの天才と几帳面さを見るにつけ心配はご無用。そんな気もする。

今夜僕らは見た事もないものを見た。

殴られる尚弥。
鼻血を出す尚弥。
グラつく尚弥。
痛がるドネア。
足をパンパン叩く尚弥。
そして、試合後、尚弥に跪かれて笑顔を見せるドネア。
そして、勝者同士の抱擁。

平和

日本にも世界にも色々な問題がある。だが、それを現実逃避させてくれるのが演劇や映画や小説だ。そしてスポーツもここまで全ての事をどーでもいい事として「忘れ去らせてくれる」。明日の仕事どうしよう。やべー、原稿間に合わない。いけない、風邪気味なのに、明日プレゼンだ。この仕事逃すとエライ目に遭うぞ!でも用意が間に合わない! 
そんなハラハラひりひりする日常においても、あの時間は全てを忘れて夢中になっていた。気付けば手を叩いていた。

スポーツって本当に人を幸せにしてくれる。人生って恋愛はしなくなる年齢もあるけど、スポーツで感動することだけは「卒業しない」し「中折れ」もしない。
スポーツは平等だし、スポーツの感動は無条件に清潔だよね。



11/17は「OKA」来てね!チケットはビタ店にて発売中!会場は大塚レ・サマースタジオね。

投稿者:

Miyacolor

まぁ、なんとなく楽しく生きていますよ。それで十分でありながら、それでいいのか?って自問自答する日々ですかね。

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