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顔たち、ところどころ

彼女が他界したことで、アップリンク吉祥寺で上映が再開された「顔たち、ところどころ」を観てきた。

素敵な映画

まず、JRってのはこんな人。
で、前のブログにも書いた、アニエス・ヴァルダはこんな人。
映画を人に勧めるのが嫌いな理由というのはいくつかあって、一つは、観た人の感想を聞くことで既に純粋に作品を楽しめなくなってしまう為に、作品を作っている人にとても失礼だと思ってしまうから。これ、作り手は迷惑に思っていない人も沢山いるとは思うのよ。口コミで広がるのが映画なので、宣伝にお金をかけられない映画は、そうやって広めてくれない事には困るでしょう。でも、僕は、観る側の楽しみ方を損ねたくないので、あんまり勧めない。そもそも、人の好みも様々なので、若くて可愛い女性に「アナと雪の女王、観て下さいよぉ、面白いですよぉ」って言われても観たくないので、困っちゃう。つまり、自分が厭なことをしないというだけ。なのでこれも勧めないです。
でも、素敵な映画と僕は思う。

54歳差

先日見直したばかりの「5時から7時までのクレオ」のクレオの素敵な笑顔、ジャン・リュック・ゴダール。デュミ。JR。JR。JR。
JRとアニエスは54歳差。なのに、何の取り決めもないまま旅に出た。そのドキュメンタリー。こういう映画で情緒を揺さぶられるのは映画ならではであり、主人公を殺すとかそういった安易な要素を用いずに出来るのは素敵です。乳癌でなくなったアニエスだが、こりゃ、満たされちゃったんじゃないかな、この映画で。そんな気がしちゃう。

JRは若い。撮影当時は33歳。しかもこういった活動をしているJRなので、アニエスをリスペクトしてるのかはよくわからない。なのに、ノートPCで映像を見せられれば「あ、ジャン・リュックっ」と興奮したりして可愛らしい。JRが「あなたの映画」というとアニエスは「私たちの映画でしょう」と訂正する。素敵なデゴボココンビのロードムービー(なのにドキュメンタリー)。

顔写真

色んな事を思ったよ。観た後にも、観ている時にも。本当に色々。まず、死。出会い。旅。顔。人間。人生。仕事。誇り。町。海。空。鉄道。砂浜。工場。
JRが顔写真を撮影してそれを大伸ばしして壁などに貼り付けるのだが、それが圧巻で。顔ってスゲーと改めて思わされる。

この時に思い出したのは、「飯館村」の「までい館」。道の駅だ。できたての時に行ってみたんだ。そうしたら、村民の顔がパネルでいくつか張り出されていて、不覚にもポロポロ泣いてしまった。その写真は、誰にも見せていないよね、確か。あるけど、ブログにも載せてない。それは、何度も言うけど、是非、実際に行って見て欲しいからなんだな。

勿論3.11があるからというのもあるが、あれで感涙するぐらいなのだから、JRにその何十倍も大きな写真をプリントされた市井の人はどう思うのかは想像にたやすい。

まとめ

村上春樹が言ってたんだっけ?「人間には二種類しかいない。カラマーゾフの兄弟を読んだ人と読んでない人だ」とか。僕は読んだ側だけど、今回「顔たち、ところどころ」を観た側の人にもなったよ。ああヨカッタ。

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作成者: 宮川賢

何しろ、インプットを多くしないとアウトプットばかりだと枯渇しちゃうし、ヤバいのでまずは読書を。そのためにソロキャンプや旅行や仕事も頑張らないとなりません。なーむー。